ポゼッション対決 〜なぜバルサはボールを持てなかったか〜 【マッチレビュー】19-20 La Liga 第27節 バルセロナ対レアル・ソシエダ
こんにちは!名もなきクレです!
6連勝中で3連続クリーンシートを保っているレアル・ソシエダとの試合です。
カンプノウですから多少はなんとかなると思いますが、この前のナポリ戦やクラシコなどの悪い流れをここで断ち切りたいところです。
■スターティングメンバー
ブライスワイトは初スタメン。ビダルに代わりブライスワイトがWGのポジションに入ってきました。
両WGとも逆足WGにしているので前回のの試合と比べると0トップの意味合いが強くなっております。
おそらくWGが、メッシのいたスペースを使う動きをしてくると思うのでそこを注目していきたいですね。
この前のナポリ戦やクラシコではビダルを右ウィングで起用していましが、3月8日の深夜にあるソシエダ戦では新しいシステムを使ってくるかもしれませんね。
前回のセティエンが3バックを断念した理由についての記事の最後の方で書いたことなんですけど、それが的中したので個人的に嬉しかったです笑
また、今節はラングレが左CBに先発。
ウンティティとのスタメン争いをしているラングレですが、活躍することは出来るのでしょうか。
ちなみに僕は左CBのファーストチョイスはウンティティ派です。もちろんラングレもカッコいいので好きですが笑
一方ソシエダはオヤルサバルがベンチスタート。オヤルサバルのかわりには18歳でソシエダのカンテラ出身であるバレネチェアが先発しています。
オヤルサバルいないのは、コパデルレイの試合の影響でソシエダは中2日だったからですかね?
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
バルサのビルドアップ時、ソシエダは右SHのポルトゥと右SBのゴロサベルを1列上げて3-4-1-2のような布陣にしました。
そして、バルサの選手をマンツーマンで見て攻撃を遅らせようとしていました。
しかし、このようなオールコートマンツーマンだと、ソシエダの最終ラインがバルサのFWと数的同数になります。
なので今日のテアはブライスワイトやグリーズマンに裏へ行くボールを出したりすることがいつもより多くありました。
テアがロングボールを出す時、ブライスワイトは割とサイドに張れていましたが、グリーズマンはあまりサイドに張れていませんでした。
サイドに張れているブライスワイトは、たまにフリーで受けることも出来ていましたし、足が早いのもあって裏抜けの成功率は高かったと思います。
一方グリーズマンはそこまでサイドに張れてないので途中で相手にカットされたりすることが多く、あまりロングボールが通ることはありませんでした。
グリーズマンはサイドから裏抜けをバンバンしていくタイプではありませんが、もう少しサイドに張る意識があったらよかったなって思いました。
ただ、メッシが降りていく動きをした時に中央をカバーしてたのがグリーズマンなので一概に「悪いプレー」とは言えないのかなとは思いました。
このようにグリーズマンが中央によっていたのでサイドのスペースが割と空いていました。
なのでそこのスペースにセメドが走り込んだりするのがちょくちょく見られました。
一方アルバはブライスワイトがサイドに張っている影響か、低い位置いることが比較的多かったです。
また、セメド、アルバは一見フリーのようになっていましたが、3-4-1-2のWBにあたる選手が牽制していました。
もしセメド、アルバにボールが入ったらWBの選手に加えてトップの選手もプレスに来てたでしょう。
セティエンが事前に話したのだと思いますが、テアやCB陣はバルサのSBにボールを出していることはあまりありませんでした。
ただ、例外的にアルバが降りてきた時などはゴロサベルがスペースを気にして付いてこないので、アルバがフリーになることが多かったです。
前半の終盤になってくるとこのようにアルバが降りてくるようになりました。
なので、テアが後ろから繋げることが多くなりました。
押し込んだ時の攻撃
ソシエダはある程度プレスを崩されるとコンパクトな4-4-2のブロックを作っていました。
ただ、ウーデゴールはブスケツを見るのがメインの役割のように感じたので正確には4-4-1-1のブロックという表記が正しいのかなと思いますしたが。
サイドにバルサの選手がいる時はブロックの維持よりも、サイドの選手にプレスをかけに行くことを優先していました。
また、ソシエダは裏への動きの反応などが早かったです。
今節はブライスワイトが左のサイドに張っていることが多かったです。なので、アルバは低めの位置にポジショニングしていることが多く、低い位置からのランニングがメインでした。
そして、アルバがランニングした時は、ブライスワイトが大外から中央側にレーンを移動していました。
このように、ブライスワイトは周りに合わせた動きを出来ていたので左サイドでの攻撃が円滑に進みました。
なのでブライスワイトは頭が良い選手だなと思いました。ファティですら最初はアルバとの関係性に難ありでしたし、ブライスワイトがバルサに来てからまだ1ヶ月くらいしか経っていませんからね。
ちなみに、右サイドはセメドが張っていて、グリーズマン、ラキティッチがいるというような感じでした。
上の図は39分10秒あたりの、バルサがソシエダのブロックを上手く崩せたシーンを再現したものです。
ボールの動きを全て表そうとするとどうしても図が見にくくなってしまうため、ボールの動きを表す線を省略したのはご了承ください。
ソシエダのブロックはコンパクトなブロックでしたが、サイドに張る選手、前線で駆け引きをする選手、ライン間にいる選手がいたことにより、上手く崩すことが出来ました。
こういう崩しが出来るというのはポジティブに捉えていいと思います。まあ、これをアウェーでも出来たら完璧ですが。
ソシエダはバルサのビルドアップ時、前からプレスをかけてきましたし、ソシエダもボールを握ろうとするタイプのチームですから、ショートカウンターをする機会は多くありました。
同じように前回のクラシコでもショートカウンターのチャンスはありましたが、上手く行きませんでした。
しかし、今節は上手くショートカウンターをすることが出来ました。
なぜなのでしょうか?
それは、ブライスワイトが左のサイドに張れていたからです。
では、実際にブライスワイトの立ち位置が活かされてるシーンを見てみましょう。
これは37分45秒あたりで、ソシエダのプレスを上手く交わしてからのショートカウンターのシーンを再現したものです。
このシーンは結局、ブライスワイトが縦に突っ走って相手を抜くも強いシュートが打てずキーパーに取られてしまいましたが、シュートまでの流れはすごく良かったです。
このように、ブライスワイトが左のサイドで張っていたことでチャンスを作り出すことが出来ました。
このシーンではブライスワイトが起点となりましたが、右サイドにはセメドがそこそこ高い位置で張っていたのでセメドを起点にすることも可能でした。
・ソシエダのボール保持時
ビルドアップ
ソシエダはビルドアップでGKにボールを預けた時はこのような4-3-3の布陣でビルドアップしようとしていました。
このようなソシエダのビルドアップの形に対して、マンマークでボールを進ませないようにしました。
マンマークとは言ってもソシエダのようなオールコートマンツーマンではありませんが。
図を見ていただけば分かりやすいと思いますが、ゲバラ、メリノ、ウーデゴールの中盤の選手にはバルサの中盤が、ソシエダのCB陣とGKはメッシが、ソシエダのSBの選手はWGが牽制するようになっていました。
アンカー的な役割を担っていたゲバラに対していつもブスケツが見ていたというわけではなく、各選手の立ち位置によってラキティッチが見たり、フレンキーが見たりというふうになっていました。
このように前からのプレスの時にブスケツが前にいることが多かったので、ショートカウンターの時に起点となっているシーンが何回かありました。
このようにソシエダの中盤にはあまり自由がなかったので、ボールを受けるために降りていくシーンが見られました。
そのような動きに対してバルサの中盤はそのままついて行ってました。
このスペースをソシエダはロングボールを用いて使おうとしてきましたが、競り勝つことが出来ませんでした。
なのでバルサがこのスペースからチャンスをつくられることはありませんでした。
ただ、ソシエダがこのプレスを交わした後、後方に人がいないためそのままソシエダのFWとバルサのCBが1対1になるシーンはありました。
しかし、このようなシーンもピケの対人能力のおかげで大ピンチになることはありませんでした。
最前線でのプレスはどうだったでしょうか?
メッシが単独で2人のCBとGKを見るのでそこまでボールの動きを止めることはできません。
なので上の図のように、ブライスワイトやグリーズマンが前のめりになっている局面がありました。
しかし、ブライスワイトがプレスをかけに行ったことによりフリーになったゴロサベルにアルバがマークしにいくという局面が何回かあり、多少はカバー出来ていたのかなと思います。
ただ、このようなマークの受け渡しは完全なアドリブだったので、アルバがゴロサベルをカバーしていなかったりしました。
このように、ソシエダのSBは実質フリーマンでした。
まあ実際にSBがボールを持つとブライスワイトとアルバがプレスに来てしまうので完全なフリーマンかと言われると微妙です。
アルバがプレスをかけに行くと、アルバがパスコースをカットしているとはいえ、ポルトゥはフリーなるので、「良いプレス」とはもちろん言えませんが。
ある程度ボールを前進させるとアンカーのゲバラが最終ラインまで落ちて、3-4-3のような形にしてビルドアップをしました。
ソシエダが押し込んだ時の攻撃
バルサはソシエダに押し込まれた時、コンパクトな4-1-4-1のブロックをつくりました。
これに対してソシエダは左サイド(ソシエダから見て)でモンレアル、バレネチェア、ウーデゴールの三角形を作ってサイドから突破しようとしてきました。
また、サイドを突破した後はイサクへクロスを上げることが多かったです。
これは各チームがどのサイドから攻めるかを図にしたものです。
これからも分かる通りソシエダは左サイドからの攻撃がメインになっていました。
バルサの左サイド(ソシエダから見て)はセメドやグリーズマンがいるため比較的守備が強いサイドです。
そのサイドからメインに攻めてきたのでソシエダは決定的な攻撃が出来なかったのかなとおもいました。
このようにバルサはブロックを崩す攻撃、ショートカウンターなどは上手くいきましたが、ソシエダは上手く攻撃をすることは出来ませんでした。(バルサの守備がすごく良かったわけではありませんでしたが、、)
しかし、スコアレスで後半に入ります。
■後半
前半は比較的良かったからか、バルサは前半から特に変更せず後半に挑みました。
・ソシエダの修正点
①ビルドアップ時の人数の増加
②ビルドアップ時の意識の変化
③ロングボールの受け方
前半のビルドアップ時は、ソシエダのインテリオールはたまに降りてきてビルドアップに絡むことはありましたが、基本的には高い位置を取っていました。
それが後半には、インテリオールがビルドアップで常に絡めるような低い位置でポジショニングするようになりました。
また、ソシエダのビルドアップ時の意識にも変化が見られました。
前半のソシエダはバルサの前からプレスに来ている選手を完全に崩し切る前に前進しようとしていたので途中でボールを取られたりして、上手く前進することが出来ませんでした。
しかし、後半は、前からプレスをしてくるバルサの選手を完全に崩してから前進しようとしました。
前半で述べたように、バルサの中盤はソシエダの中盤をマークしています。なので、ソシエダのインテリオールがさらに低い位置でポジショニングするようになると、後方のスペースがさらに大きくなります。
ソシエダはプレスを崩した後にそこの大きなスペースを用いて速攻を仕掛けてきました。
また、最終ラインからロングボールを前線に蹴る時はバルサ後方のスペースに向かって蹴り、そこにイサクが降りてくるようになりました。
後半このように修正されたため、ソシエダはボールを持つことが出来るようになりました。
・バルサの問題点
①後方のスペースをケアする人がいない
②WGとして機能しなくなったブライスワイト
①に関しては先程書かせていただいた通りなので説明は省かせていただきます。
前半のブライスワイトはちゃんと左のサイドに張れていたし、裏へ抜ける動きなどを積極的にしていました。
なのでブライスワイトとマッチアップしている選手は対応するのがとても難しかったと思います。
しかし、後半はブライスワイトの疲れからか裏へ抜ける動きなどがなくなってしまっていました。
ただ、前半に比べるとソシエダは攻撃をシュートでフィニッシュしてることが多くなっていましたので、後半の方がカウンターチャンスは少なかったです。
それも関係しているのかもしれませんが、後半はインパクトを残すことが出来ませんでした。
・選手交代の意図
チーム全体の守備力アップとビダルの得点能力を期待して投入したのでしょう。
しかし、なぜ今節調子が良かったラキティッチが交代させられたのでしょうか?
前までは低い位置でビルドアップに絡んでばっかいたラキティッチが高い位置でポジショニング出来るようになりました。
そのことによりラキティッチが前線での組み立てに参加することも多くなり、ラキティッチの強みであるミドルからチャンスをつくることも出来ました。
一方、フレンキー。
彼はラキティッチよりも、周りを見て自分のポジショニングすることができてプレス耐性がある選手です。
なので、チームにとって欠かせないピースとなっている選手の1人です。
しかし、最近のフレンキーは、自分でシュートを打っても良さそうな局面でもメッシにボールをパスしてしまったりしている場面が多い気がします。
バルベルデからセティエンのチームになってからは、メッシやスアレスだけでなく、いろんな選手が点を取れるようなサッカーにシフトチェンジすることができていました。
しかし、今回の試合の後半では、メッシに頼った攻撃になってしまいました。
それは、先程述べたような焦りの気持ちや不安の気持ちから、周りの選手がメッシにボールを預けることが多くなったからでしょう。
クラシコのマッチレビューより引用したものですが、このような「精神的メッシ依存」状態にフレンキーはなっているように感じます。
「周りに合わせる」ことと「自分で行く」という判断はとても難しいものですが、このような判断を出来るようになるとフレンキーはさらに素晴らしい選手になることが出来るのかなって思います。
フレンキー多分ミドル打ったら上手でしょうしね笑
少し話が脱線してしまいましたが、僕的にはミドルを打てていたラキティッチを残すべきだったのかなと思っています。得点が必要な時間帯でしたしね。
ビルドアップの貢献度的にはフレンキーの方が大きいのでフレンキーを残した判断が決して間違いだとは思いませんが。
PKのきっかけとなるクロスを上げたのはビダルなので、ビダルを投入したのは結果的に吉となりました。
②85分 グリーズマンoutファティin
ファティは左サイドに入り、ブライスワイトが右サイドに入りました。
比較的純粋なWGを左右で置くことで幅をとりカウンターを狙うという意図があったのでしょうか?
ただ、85分には既に点が入っていましたし、ブライスワイトは既にガス欠してました。
なので単純に出場機会確保という意味合いが大きいと思います。
ファティとブライスワイトの相性を見たかったというのもあるのかな?
また、ファティが左サイドに入ったことによりカウンター時起点になることが出来ていました。
③89分 ブライスワイトoutフィルポin
アルバのWG起用は驚きました。また、アルバが左WGに入るに伴ってファティは右WGに入りました。
「ファティ右WGはどうなんだろうな?」って思っていましたが、95分頃のプレーのようにファティとアルバが起点となってシュートまで持っていくことが出来ました。結局オフサイドでゴール取り消しになってしまいましたが、とてもポジティブなシーンだと思いました。
また、この交代には、アルバを左WGに置くことにより守備力を増やすという意図もあったと思っています。
6分しかこの配置でプレーしていませんが、みなさんの中でのインパクトは大きかったと思います。
このように後半はソシエダに主導権を握られながらもなんとか勝てたバルセロナ。
クラシコ敗退後でCL2ndレグを控えたバルサにとって大きな勝利であったと言えるでしょう。
■雑感
まず、勝てて良かったという思いがありました。
個人的にはピケ、ラングレのCB陣の活躍が印象に残っています。
ボールポゼッションについては文句を言いたいところもあります。だけど、ちゃんとボールを持てたときはしっかり攻めることも出来ていましたから、そこまで酷評することもないのかなと思っています。
今節は特に前からのプレスが問題として浮かび上がっていましたが、セティエンが就任してからの修正を見てると、「きっと修正してくれる」と思えるので僕はそこまでネガティブな出来事とは思っていません。
もう少しブスケツが後方のスペースをカバーしてくれていたら支配率はあそこまで落ちなかったでしょうしね。
また、リキとかコシャドとかカンテラーノが出れてないのは今節の場合しょうがないのかなと思っています。
先程も書きましたが、今節はクラシコ敗戦後かつCL2ndレグが間近でかつ、相手はソシエダ。
なんとしてでも勝っておきたい試合ですし、PKを貰えるまでどっちが勝つかわからない感じでしまから、勝つための采配になってしまうのはしょうがないと思うんですよね。
もし前半2-0とかで折り返せていたら誰かしら出してもらえた思いますしね。
ローマは一日にして成らずという言葉があるように、今のバルサがすぐに理想のバルサになることは難しいです。
小澤さんも試合中に、ソシエダはカンテラを大切にしつつ優秀なスポーツディレクターのおかげで良い選手を取れるから強いと、おっしゃっていました。
原点回帰する上でソシエダのフロントの動向は勉強になるかもしれませんね。
しかし、今のバルサはセティエン政権になってから日進月歩で原点回帰を進んでいると思います。なのでもう少しポジティブになってもいいのかなって笑
雑感なのにすごく長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
引用
whoscoredアプリ