〜なぜバルサは苦戦したのか〜 国王杯 3回戦 イビサ対バルセロナ
どうも!名もなきクレです!
ひょんなことからグラナダ戦からビルバオ戦までのマッチレビューを書くことを決めましたが、今回はイビサ戦を書いていきたいと思います笑 前回のグラナダ戦のマッチレビュー読んでない!って方いらっしゃったらぜひ笑
更新しました!パス本数1000本を記録したセティエンバルサ初陣の試合 改めて見返してみてはいかがでしょうか? https://t.co/kdmVdg9C1r
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月10日
今回はバルサが苦戦を強いられたイビサ戦。負けるかもと不安だった試合ですが、イビサのバルサを封じ込めようとする意図が垣間見れた試合でもあったので個人的には面白かった試合の印象があります。あと解説?の方が人工芝のことについて触れてる頻度が多かった覚えもあります笑
■スターティングメンバー
バルサはグラナダ戦と同じく3-1-4-2。3バックなのに本職CBがラングレだけという… ターンオーバーとはいえ少し攻撃的な気がしますがね。そして2トップはペレスとグリーズマン。この試合の数日後にセティエンから戦力外とされてしまい彼はローマに移籍するわけですがなぜペレスを戦力外にしたのかということも視野に入れながら観ていきましょう。
一方のイビサは定番の4-3-3。イビサで昔から知ってる選手はいませんが、前からのプレスなどでバルサをビルドアップでサイドに追い込んだりするなど戦術的な練度は高いチームなので各選手のタスクを意識したりして観たいと思います。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
バルサは前回と同じく3-1-4-2でビルドアップをしようとしますが、それに対してイビサは4-4-1-1の陣形で積極的に前からプレスを仕掛けました。基本的にはイビサの中盤を務めているヌネスとペレスがインテリオールを厳しくマークし、同時にイビサのWG(ライーとカバージェ)がインテリオールへのパスコースをカットしてバルサのインテリオールを完全に封じ込めようとしていました。また、ボールホルダーに対してはララがフレンキー、ロナウドが隣にいるCBのパスコースをカットしながらプレスをかけてきました。
このように、イビサはボールが中央に入れさせないように細心の注意を払っていました。突然ですが、みなさんがもしCBとしてボールを持っていたらどこにボールを出しますか?多分WBにパスをする方が多いと思います。では、実際にWBにボールを渡すとどうなるのか?下の図をご覧ください。
イビサの選手はバルサの中盤などのパスコースをカットしているので、バルサのWBは袋の中のねずみ。バルサが失点するまではイビサのSBがWBにプレスをかけにいくわけではなく後ろのスペースをケアする形になっていたので、ファティが上手にカットインするなんてシーンもありましたが、イビサに対してやはり決定的な打撃は与えることはできませんでした。
イビサが前半8分に先制した後は、イビサのSBがバルサのWBにプレスをかけにいくようになり、状況はさらに難しくなっていきます。前半の35分付近ではイビサの前からのプレスに引っかかってしまい危うく失点しそうになってしまうシーンがありました。
押し込んだ時の攻撃
前からのプレスで苦しめられたバルサはブロック守備の時にも苦しめられます。
イビサのFWがハーフウェイライン付近まで下がると4-4-1-1から4-5-1へと変化しました。4-5-1のブロックといえばまず最初にナポリ戦が思い浮かぶ方は結構多いのではないでしょうか?あの試合でも4-5-1のブロックに苦戦を強いられましたね。
更新しました!
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年2月29日
〜ナポリ戦から見えてきたバルサの課題と解決方法〜 【マッチレビュー】 CLラウンド16 1stレグ ナポリ対バルセロナ - 名もなきクレのブログ https://t.co/nrZzkHGTO2
ナポリが用いた守備ブロックは4-5-1、無敗優勝も夢じゃなかったリヴァプールを3-0で打ち砕いたワトフォードが用いたのも4-5-1、FA杯でリヴァプールに勝ったチェルシーが用いたのも4-5-1… ちょうど同時期にこのような試合があったので「4-5-1ブロックが最も守備が固い!」と盲信していました笑 今は「どんなブロックにもメリットデメリットはある」っていう考えに戻ってますが、それでもやはり4-5-1の守備が固いなと思っています。
ここで一度4-5-1のブロックのメリット、デメリットを軽く整理してみたいと思います。
- 4-5-1のメリット
①2列目に5人いるので横へのスライドが早い
②4-1-4-1などで生じる「アンカー脇」のスペースは存在しない
③ライン間に入られても周りで囲むことが容易
- 4-5-1のデメリット
①ブロックの前方に広大なスペースを与えてしまう
②FWが1人しかいないのでカウンターが弱い
③前方にいる相手に対して圧力をかけにくい
このように4-5-1のブロックは、ブロックの後ろを固めた代わりにブロックの前で比較的余裕を持てるようになっています。なので最終ラインからライン間へパスを通して展開をつくるのが無難ですが、果たしてバルサは出来ていたでしょうか?
単刀直入に言うと出来ていませんでした。
上の図は前半15分のシーンです。フィルポがチャンネルランをして8番を引き付けます。しかし、そのときに空いたスペースを素早く使うことができていませんでした。この場合だとリキが瞬時に受ける判断をすべきだったのかなと思っています。このように、どこにスペースが出来るかを選手間で把握してボールホルダー、ボールを受ける人、第三の選手(フィルポのような動きをする選手)が連動できなきゃチャンスに繋げることは難しいのかなと思いました。
正直就任直後、かつターンオーバーをしていたこの試合で、上に書いたようなタスクを完璧に求めるのは流石に酷ですが将来的にはできなくちゃいけないことになってきます。
イビサのインテンシティが高め、守備ブロックが4-5-1とはいえ、上の写真を見ればわかるように意外とスペースは存在してます。ですから、やっぱり崩して欲しかったというのが本音ですが… あと、フィルポの動き自体は良いですが、CBの一角が結構な頻度であの動きをするのはちょっとうーんって感じですね笑
・イビサのボール保持時
イビサは、基本的に裏へのロングボールをサイドに蹴っていました。なのでバルサからボールを奪ったらサイドに流れた9番のロナウドやWGにロングボールを蹴ることが多かったです。また、フィルポがオーバーラップすることが多かったのもありフィルポがいる左サイドが狙われることが多かったです。左サイドを狙われた局面の代表格としてあげられるのが16分40秒のシーン。結局ファールになって得点は無効になりましたが、すごくヒヤヒヤしたのを覚えています。
1回だけでは単調になるロングボール攻撃を何回もやることでバルサのミスを誘発させようとしていました。イビサの攻撃の戦術は驚くくらいシンプルですがこの戦い方にバルサは苦戦を強いられます。
このように苦戦したバルサはスタッツでも完全に負けていました。幸いだったことは運良く1失点に抑えられたことくらいでしょうか。後半、セティエンがどう対応してくるかが見どころです。
■後半
・バルサの修正
イビサは前半と全く同じ戦術を使い通しました。それに対してバルサはどのような修正をしたのか見ていきましょう。
①ライン間を使う意識の共有
②WBでボールを持ちすぎなくする
先程、第三の選手の動きがないというふうに書かせていただきましたが、その動きをしてもらうようセティエンは話をしたと思います。また、同時にWBでボールを持ちすぎないようにすることも話したでしょう。そのため、WB(特にファティ)が無理にドリブルを仕掛けてボールを失うシーンが減り、シュートまでは持ち込めなくてもボールを中央に侵入させることができるようになりました。ただ、68分頃までシュート0でしたからもう少しなにか変化を加えてもよかったのではないかなと思いますが…
・交代の意図を読み解く
59分 ペレスout アルバin
ペレスとアルバが交代しましたが、実際にアルバが入ったポジションはWB、ファティは左のCFに入ります。言うまでもなく、WBはイビサのブロックの構造上、罠となっていました。なので強引に突破しようとするのは困難です。そこでWGタイプのファティではなく周りとの連携で縦に抜けることが得意なアルバをWBに置き、4-5-1ブロックを崩そうとしました。余談ですが、今日のセメドは、先程述べたようなタスクをうまくこなせていました。改めて見返すとセメドが覚醒しはじめたのはこの頃なんだなと思いました笑
ところで、なぜファティは残されてペレスが交代されることになったのか?それを考えてみたいと思います。
- なぜファティではなくペレスが交代?
①決定機を作ることが出来なかったから
②グリーズマンと役割が被っているから
③2トップに個の能力がある選手を置きたかったから
2トップを組む場合、お互いの欠点を消せ、かつ長所を活かし合うことができる組み合わせが望ましいとされています。この試合でのバルサの2トップはグリーズマンとペレスです。グリーズマンもペレスも2人ともオフザボールに優れた選手、そう、出来ることが比較的似ているタイプの選手なのです。2人とも周りを際立てようとするも活かされる選手がそもそもいないなんて局面も何度か… そこで2人のFWに違いを出すためにファティを前線に入れることを決意したわけですが、ペレスとグリーズマンだったらもちろん信用できるのはグリーズマン。そういう理由でペレスは交代されたのでしょう。
このようにペレスがバルサの中で周りとの違いを出しきれなかったことが移籍させられたことの大きな要因なのかなと感じさせられました。
71分 リキ out アルトゥールin
前回の試合のグラナダ戦よりはしっかりとボールを持ていた印象のあるリキ。ただ、安全志向なところはそこまで変化がなくリキ自身でボールを持てているシーンは多くはありませんでした。この試合でのリキは失点シーンに絡んでしまいましたしね… そこでボールを持てるタイプのアルトゥールを入れることでフレンキーなどな余裕を持ってボールを持てるようにします。その影響からなのかアルトゥール投入直後にフレンキーがグリーズマンに対してアシスト。この交代は一定の効果があったといえるのではないでしょうか。
この試合では良いとは言い切れないパフォーマンスでしたが、間違いなくリキにポテンシャルはあるのである程度の出場機会を与えてほしいです。試合慣れってやっぱ大切ですからね。最近の試合であんまり出れてないのが少し不安…
81分 ラキティッチout ビダルin
この日のラキティッチはイビサのインテンシティが高いのもあり、たまにラキティッチのプレス耐性のなさが露呈してしまうこともありましたがそこまで悪いパフォーマンスではなかったと思います。なので単純に、ビダルの得点力や精神力に期待しての交代だったのかなと思いました。この時間帯はまだ1-1でしたしね。
このような感じでバルサは試合の流れを変えていこうとしました。結果的に見れば成功なのかもしれませんが内容にはやはり疑問符が残る試合になりました。
■雑感
イビサの守備ブロック結構硬い印象あったんですが今見返してみると意外と隙があるなというふうに思いました。
そして、この試合の数日後にセティエンがペレスを戦力外にしたと考えると決断が早い… 頭が固いクライフ信者かと思えば意外と現実主義者で、そしてそのすぐあとにペレスを放出。助監督のサラビアに強く言われたのかもしれませんがセティエンの頭の中が全く読めません。
また、イビサのような戦術的に仕込まれててインテンシティが高いチームは観てて面白いなと改めて感じさせられましたね。早くこの騒動が終わってフットボールを観れる日常に戻ることを願うばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございました!