名もなきブログ

バルサを中心に書いていきたいと思います

ペレス放出の理由からセティエンのサッカー観を読み解く

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どうも!名もなきクレです!

この前、イビサ戦のマッチレビューを書いた時に、ふとペレス放出の納得いく理由を閃きました。なので今回はそのペレス放出の理由とともに、そこからさらに話を掘り下げてセティエンの人格やサッカー観についても書かせていただきたいと思います!

実はグラナダ戦とイビサ戦のマッチレビューで結構今回のテーマについて触れています。なので割と今までの記事の内容と被るところもありますがそこはご了承ください笑

 

カルロス・ペレスのプロフィール

1998年2月16日/スペイン/175cm/75kg/左利き

ペレスの主戦場は右WG。オフザボールに優れた選手で、カットインの動きを惜しみなく繰り返してくれます。本職ではない左WGでも自慢のオフザボールは健在。左足からの強烈なシュートが特徴的で巷ではバルサロッベンと言われていたそうです笑 ペドロの後継者的な感じでペレスに対して期待していたクレは結構多いのではないでしょうか?

海外のロマニスタの方が作った動画ですが、1番見やすかった動画なのでおすすめです。


Carles Pérez • Welcome To AS Roma - 2020 • Best Goals & Skills - Barcelona Highlights / 2019/20 •

 

・略歴

今までのペレスの活躍を軽く振り返っていきますが、本当にちょっとしか経歴に触れられてないのはお許しください笑

バルサBの主力として活躍してたペレスは遂に18-19シーズンのリーガ最終節、エイバル戦でトップチームデビューを果たします。そしてプレシーズンの時に行った日本ツアーにも帯同します。背番号7番を背負ったペレスは神戸戦で2得点を決めて大活躍!バルベルデの信頼を得た状態で19-20シーズンのスタートを切りました。

さらに、シーズン開幕時にはスアレスとメッシが負傷していましたのでペレスは多くの試合に出場することができました。そして、9月下旬には2年の契約延長を果たします。

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プレーシーズンで信頼を勝ち取ってから徐々に出場機会を得て活躍していくという、カンテラーノの模範的なステップアップの仕方をペレスは体現しているなと勝手に思っていました笑 そんなペレスが放出されてしまうというのは、トップチームでの活躍を切望している下のカテゴリーの選手にとってネガティブで、カンテラーノの流出をさらに引き起こしかねない出来事だったでしょう。クラブ側は買い戻しオプションをつけようとしたそうですが、ペレスが断ったという報道もあるそうで…



しかし、なぜセティエンは結果を残しつつあったペレスを戦力外としたのでしょうか?

 

■なぜペレスを必要としなかったのか

ペレスがセティエンになってから出場した試合はグラナダ戦とイビサ戦の2試合のみ。イビサ戦から数日後にセティエンから戦力外と言い渡されています。この2試合では3-1-4-2を用いており、セティエンは3-1-4-2でしばらく指揮しようと考えていたでしょう。なので、ペレスがプレーした3-1-4-2のCFとWBに求められるタスクをもとに、考えていきます。

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・CFにおけるペレス

イビサ戦では左のCFとして先発入りしたペレス。この試合では59分にアルバと交代し、ペレスがプレーしていたポジションにファティが入りました。

2トップを組む場合、お互いの欠点を消せ、かつ長所を活かし合うことができる組み合わせが望ましいとされています。この試合でのバルサの2トップはグリーズマンとペレスです。グリーズマンもペレスも2人ともオフザボールに優れた選手、そう、出来ることが比較的似ているタイプの選手なのです。2人とも周りを際立てようとするも活かされる選手がそもそもいない、なんて局面も何度か… そこで2人のFWに違いを出すためにファティを前線に入れることを決意したわけですが、ペレスとグリーズマンだったらもちろん信用できるのはグリーズマン。そういう理由でペレスは交代されたのでしょう。



このようにCFではグリーズマンと役割が被っていました。残念ながら、CFのポジションでペレスがグリーズマンと争うのは現実的に無理がありました。そして実際にイビサ戦ではグリーズマンの2得点により勝利しています…

こうしてCFとしての活路は絶たれたペレスですが、WBではどのように評価されたのでしょうか?

 

・WBにおけるペレス

奥行きを作る重要性

突然ですが、サイドでプレーする選手で最も重要な役割はなんだと思いますか?個人技でのカットイン、中央に入って組み立てに参加する…  もちろんチームによって多少は異なりますが、僕は間違いなく幅を取り奥行きを作る役割が最も重要だと思っています。

 

下の図はピケがアルバに対してロングボールを蹴るシーンです。この時敵選手の目線はピケに向いています。また、相手CBはメッシを厳しくマークしておりメッシがボールを受ける余裕はありせん。

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では、アルバにボールが入ったときにどうなるか考えてみましょう。下の図のようにピケを見ていた相手選手は急いでアルバに視線を移さなければなりません。

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このように相手の目線が急激に変化することにより恩恵を受ける選手がいます。そう、それはメッシです。メッシをマークしていたCBはアルバに目線を移さなければなりませんから一時的にですが、メッシから目を離さなければなりません。こうしてメッシは相手のマークから外れることができるのです。

この例は少し極端過ぎますが、サイドから裏へ突破するときには同じような現象が起きます。例えば、メッシとアルバのホットラインはまさに急激な目線のズレを活かした攻撃ですし、シティのチャンネルランもこの原理を使っています。ただ、メッシとアルバのホットラインに関してはスアレスのような9番タイプの選手がいることによりメッシがフリーになれるので、やはりスアレスは必要になります。ここ最近アルバのパフォーマンスが以前ほど尖っていないのはスアレス不在が関係あるのかなと個人的に思いました。

少し話がそれてしまいましたが、このような奥行きを作る動きは相手の守備ブロックを崩す上で重要になります。なのでチームには誰かしら幅を取り奥行きを作る存在が必要となるのです。

 

バルサのWBに求められていたタスク

下の図は3-1-4-2のバルサが4-4-2のチームに対して押し込んだ攻撃を行なっているシーンを表したものです。図を見ていただければわかりやすいと思いますが、WBはチームの中で唯一幅をとるタスクが与えられたポジションになっています。そのため奥行きを作る動きを求められるわけですが、そのタスクをペレスはこなすことができていたでしょうか?

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右WBとして途中交代したグラナダ戦ではいつも通りサイドから中に入っていく動きを繰り返してくれていましたが、この動きでは奥行きを作ることはできませんでした。たとえ良い動きだとしても監督に任された動きをこなせなければ高く評価されることはありません。

そして、当時はデンベレの復帰が間近でした。その影響もあり、ペレスはWBにおいても戦力外扱いとされてしまいます。

 

セティエンのサッカー観を読み解く

ペレスを放出した直後にバルサバレンシアに完敗し、それ以来3-1-4-2のフォーメーションを用いていません。バレンシア戦後は4-3-3をメインに用いていますが、4-3-3のWGならSBがいるため常に奥行きを取るタスクを行う必要がありません。そのため、「ペレスを放出する必要はなかったんじゃないのか」と思う方は結構いるのではないでしょうか?僕も4-3-3なら活躍することはできたのではないかなと思っていますし、デンベレの存在があったとはいえ決断が早すぎます。できることならバルサに残って欲しかった… 

では、改めてなぜセティエンはペレスを放出しようとしたのか。この問いは、緊急補強で獲得したブライスワイトの特徴を考えることで解き明かすことができます。

デンベレの長期離脱に伴って許可された緊急補強で獲得されたブライスワイト。昨年のボアテングのようになってしまうことを一時期危惧する声もありましたが、彼は初速の速さを活かした縦突破をカンプ・ノウで披露することによって実力を証明しました。セティエンはブライスワイトの縦への突破力を評価して獲得したのでしょうが、この事実からセティエンのサッカー観が読み取れます。それは彼が「奥行きを作る動きを重要視している」という確固たる価値観を持っているということです。実際、4-3-3のWGは裏を狙えるときには裏へ走る動きをしており、ブライスワイトのスピードは相手チームに脅威を与えていまいした。この裏へのアプローチはバルベルデ時代にはあまり見られなかったのでセティエンの色が出た采配と言えるのではないでしょうか。

では、改めてペレスがWBとして評価されなかった理由を思い出してみてください。セティエンのサッカー観を考えれば、なぜペレス放出をあそこまで早く決断したのかご理解いただけるでしょう。もしかしたら就任が決まった時点でペレスの放出は決めていたのかもしれません。

余談ですが、彼のサッカー観を元に考えるとなぜファティを右WBで起用したのかも見えてきます。 右サイドで起用されたファティは持ち味のカットインの動きが出せず縦突破一辺倒になっていましたが、彼のサッカー観を考えるとそこまで悪いプレーではなかったのかもしれませんね。

 

■優しすぎるセティエン

このように、セティエンは奥行きを作る動きを重要視しているわけですが、1つ疑問に思うことがあります。それはセティエンがグリーズマンをどう思っているのかということです。

グリーズマンはどこのポジションでも上手にプレーしてくれますが、今のバルサグリーズマンの本来持つクオリティを完全に発揮出来ているとはいえません。グリーズマンのクオリティを発揮しきれないポジション(WGなど)でセティエンが起用していることを考えると、実はセティエンがグリーズマンをあまり必要としていないのではないかというふうに感じてしまいます。というか実際、そうなのだと思います、残念ながら… 

このようなセティエンの謙虚さに溢れた発言が度々報道されますが、彼は良くも悪くも優しすぎるのかもしれません。前任のバルベルデもまさにそうでした。そしてクライフのような理想が高くてフロントと揉めちゃうような人物がバルサには必要なのかもしれませんね。

 

 

■まとめ

どうだったでしょうか?自分の中では以前よりもセティエンの理解が深まったと思っていますが、セティエンは謎が多い人物のままです。例えば、コウチーニョを来季の構想に含めているところとか。心からコウチーニョを起用したがっているのならば良いのですが、金銭面での配慮とかからの発言ならちょっと不安になります。まあセティエンはもうちょっと荒っぽくて自分勝手な采配をしても良いのかなとは思います笑 彼自身はクライフ信者ですからバルサにとって決して悪いことではないと思いますからね。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!