〜ビダルに依存するバルサ〜 La Liga 第21節 バレンシア対バルセロナ
どうも!名もなきクレです!みなさんはバレンシア戦にはどんな思い出があるでしょうか?前回対戦はカンプ・ノウでしたが5-2で勝利してましたし、この時点では一応無敗だったセティエンバルサ。僕はなんとかなるんじゃないかと楽観視していましたが、そこまで上手く物事は進まず、現実を思い知らされる試合でした。そして、原点回帰の道はやはり厳しいものだと。そんなバレンシア戦について今回はふりかえっていきたいと思います。余談ですが、この3rdユニの色合いが凄く大好きで笑 特に、後半に入ってきたコシャドの3rdユニ姿が印象的です笑
■スターティングメンバー
バルサはグラナダ戦、イビサ戦の時と同じく3-1-4-2のフォーメーションで試合に挑みます。中盤はフレンキー、アルトゥール、ブスケツのロマン溢れる人選。そしてファティは苦手な右WBをつとめています。
前回の記事でファティ右WB起用の理由などについて書かれていただいたのでまだ読んでないって方はぜひ!
ペレス放出の理由からセティエンのサッカー観を読み解く - 名もなきブログ
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月21日
更新しました!我ながら良い記事になったと思っているのでぜひ読んで欲しいです笑 https://t.co/6KYsqLUNC7
一方のバレンシアはオーソドックスな4-4-2。フェラン・トーレス、ガヤ、ゴンドグビア、マキシ・ゴメスなどの選手が注目です。そしてバルサを苦しめたバレンシアの守備も必見です。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
バレンシアは後方での数的同数を受け入れてオールコートマンツーマンをしてきました。また、ヴァスはアルバに対してプレスをかけに行くのでヴァスの後方に大きなスペースが空いていました。当然バルサはその弱点を突いていく必要があります。しかしバルサの選手があのスペースを使おうとしないのでヴァスは遠慮なくプレスにをかけに行くことができました。ヴァスの裏のスペースや最終ラインの裏にロングボールを蹴っていたりしていればバレンシアの選手もそこまでガツガツプレスに来れなかったでしょう。この試合ではロングボールを有効的に使えていませんでしたが、最近の試合では適度にロングボールを使えているので、先を見通した評価をすればそこまで悪くはないのかなと思いました。
あと2トップのプレスのかけ方が上手い!片方がブスケツをマークして片方はプレスをかけに行く、言葉で言うのは簡単ですがそれを当たり前のようにできるのは素晴らしいです。もしメッシ、スアレスもあれくらい守備してたら得点は減りますが、昨シーズンCL取れてたでしょうね泣 そしてボランチのマークも厳しく、バルサの中盤はそのプレッシャーに苦しみました。そのプレッシャーから逃れるためにフレンキーが右SBの位置に降りてビルドアップをするシーンもありましたね。
押し込んだ時の攻撃
ビルドアップで苦戦気味だったバルサはバレンシアを押し込んで攻撃をする時にも苦戦します。バレンシアのインテンシティが高いのもありますが、相手の1列目(2トップ)までのところになんとバルサの選手は5人いたのです。ボランチを含めずに考えたら5対2の数的有利。これだけ後方に人がいたら前線の選手が孤立するのも無理はありません。
また、バレンシアのボランチは上の図のように一人がパスコースをカット、もう一人がその人に寄せるというふうにしていたのも前進が上手くいかなかった要因の一つです。そしてついにはバレンシアのPKをテアが弾いて命拾いをしたあと、メッシも中盤に降りてくるようになりグリーズマンも孤立しだします… バレンシアの最終ラインはメッシが降りてもついていかないなど完全なゾーンプレスで守備をしていたのもありますが、それでもほとんど最終ラインの選手に恐怖を与えることができていませんでした。
上の写真をご覧ください。これは32分54秒のシーンを切り取ったものですが、わかりやすくアルバとグリーズマンが孤立しています。このように各選手が距離感が遠くなるとパスを回しにくくなり、連携の良さを活かせなくなってしまうのは想像に容易いでしょう。また、ボールを奪われた時に距離感が遠いので即時奪還をするのが難しくなります。ですから相手を崩しに行くときは距離感が適度に近い方が良いわけですがバルサはそれができていませんでした。そしてこちらの写真も御覧ください。
この写真は20分18秒のシーンです。中央にいたグリーズマンがバレンシアの右CB、ガライを引きつけてサイドに流れ中央に広大なスペースを作りますが、誰かが走り込んでくる気配はありません。先程ご覧いただいた写真でもチャンネルランする選手がいたらチャンスになっていたかもしれませんね。このように選手各々のスペースを使う意識が欠けており、チームとしての流動性がありませんでした。
今改めて見ると結構バレンシアにも隙がある感じだったので見ていて少しもどかしかったです笑 余談ですが、先ほどお話しさせていただいた、フレンキーの右SBに降りて行く動きはメッシが中盤に降りてきたことが影響しているのかなと思いました。ただ、周りを見てポジショニングできているのは良いことですがこの時に右SBの位置にいるべきかというと…
そしてバレンシア戦以降、セティエンはチームとしての流動性が無く前線にいる人数が少ないという問題を解決すべく、「メッシが降りてきたらメッシの代わりに高い位置を取る」というビダル的な役割をフレンキーに任せていきます。失敗が比較的多い試合ではありましたが、次節以降の布石になっている部分が多いのでそういう意味では面白い試合でした笑
・バレンシアのボール保持時
ビルドアップ
ではバレンシアのビルドアップを見ていきましょう。バレンシアのビルドアップ時にはゴンドグビアとソレールが1列落ち4-3-3のような陣形になっていましたが、ビルドアップの目的が少し違いました。それはあくまでサイドバックがオーバラップするための時間稼ぎが目的であるということです。そして、SBが上がりきったらSBやCFにに対してロングボール。また、アルバがいる方のサイドに狙ってロングボールを蹴ることが多く見られました。シンプルな攻撃ですが、バルサのCBたちはバレンシアのWG(トーレスやゴメス)も見ていなければならなかったので意外と苦戦します。
一方バルサは4-1-4-1のブロックで前からのプレスをしました。「バレンシア戦でもどうせ狙いもなくただ闇雲にプレスかけに行ってる感じ何だろうな」と思っていたのですが、実際の試合では意外と引き気味。良い意味でバルベルデ時代の4-4-0リトリートサッカーの恩恵が出たのかなと思いました。まあこの試合での前からはめ込むプレスがうまく行ってるように見えたのは、あくまでバレンシアのビルドアップは、ポゼッションするためのビルドアップではなかったのも関係あるのかもしれませんが。
このように、SBなどに対してロングボールを蹴ってサイドからの突破を試みていましたが、さすがにその攻撃だけでは上手くいきません。ではどのようなプランでバレンシアはバルサから点を奪おうとしたのでしょうか?
ロングボールにより作られるカオスな状況を活かした攻撃
ロングボール単体を処理するのは難しくありません。しかし、問題はその後。ヘディングで正確に誰かの足元に落とすのは難しいです。なのでバレンシア側にはボールを奪うチャンスができます。そして、中盤にはボールを奪い取る能力に優れたゴンドグビアがいるので、ゴンドグビアが奪ったらインテリオールの位置にいるソレールやコクランにパスを出していました。その後はソレールやコクランから幅を取っているSBに良いパスを出してサイドを駆け抜けます。この時バルサの守備陣形は整ってはいないので結構難しい守備対応を強いられていました。
このように、ロングボールを蹴ることで意図的にショートカウンターをしやすい状況を作り、ショートカウンターで点を奪おうとしました。PKになったシーンもバルサがロングボールの処理を誤ったことでオープンな状況になり、ショートカウンターを食らったことが原因でしたね。
バルサの攻撃が上手くいかないのもあってバレンシアのショートカウンターを受ける頻度が多くなりましたが、なんとかテアが神セーブを連発してくれたおかげで0-0で前半を終えます。距離感の悪さをセティエンはどのようにして解決しようとするか必見です。
■後半
バレンシアは前半と同じシステムのままで後半に臨みました。では、セティエンがどのような修正を施したのか見ていきましょう。
・バルサの修正
①インテリオールが高い位置にいるようにする
②ビダル投入
シンプルな修正ですが、これだけで見違えるほどパフォーマンスは良くなりました。特に左サイドではビダルやアルバ、グリーズマンが組み立てに参加するので定期的にチャンスを作れるようになります。また、ボールを持っている側のCBも高めの位置を取り組み立てに参加していたので距離感も改善することができていました。ただ、右サイドではフレンキーとファティしかいないので相変わらずボールを前進させることができませんでした。あと、試合を通してWBのラインブレイクして行く意志があまり見られませんでしたね。アルバが裏に抜けれた時とかはほぼ毎回チャンスになっていたのでもう少し積極的に出て行って欲しかったです。
流れをよくしたビダル
そして修正の決め手となったのはビダル!彼は、ポストプレーや相手を引きつける役割をになっていたスアレスの代役を柔軟にこなしていました。
そして、ポストプレーをしてくれるビダルが入ったことにより、上の図のようにライン間で前を向くことができるようになりました。そして下の写真もご覧ください。
少し見にくいですが中央にいるビダルが前に走って行くことにより、アルバからメッシへのパスコースができています。このよにビダルが試合に入っていたことで味方(メッシ)にスペースを提供されるようになり円滑に攻撃できるようになりました。
最近僕の記事でスアレスの良さ、スアレスの動きと似たことをしてくれるビダルの良さばかり書いていますが、ある意味バルサはスアレスやビダルに依存していることを痛感させられています笑 実はメッシ依存と同じくらい深刻な問題かもしれませんね。
・再び露呈したセットプレーの弱さ
後半は前半と比べればとても良くなりました。しかしやはり現実は厳しい… あれだけ前半にシュート打たれて無失点だったツケが回ってきたのでしょうか。個人的には1点目の失点はしょうがないと思うのですが、2点目の失点は未然に防ぐことができたと思うのです。
2失点目はスロインが起点となりシュートを打たれてしまいました。上の画像を見ていただければわかると思いますが、自陣に戻ってきている選手はほぼいません。周りの選手がもう少し早く自陣に戻れて入ればと思うと…
後半は善戦するも結局点を奪うことなく試合は0-2で終わります。
■雑感
見ていた時は敗戦したことやアウェーで負けたことが先行してしまいあんまりゲーム内容が入ってなかったのですが、改めて見返すと全然勝てた試合だなと思いました。CLとかになるとやっぱり運の要素も大きくなってくるので勝って欲しかった… ですが、3rdユニを満喫できたので僕は満足でした笑
最後までお読みいただきありがとうございました!