〜試合の流れを変えたはずのレガネス〜 国王杯 4回戦 バルセロナ対レガネス
どうも!名もなきクレです!
突然ですが、学生の方は課題とかどうでしょうか?僕は不思議なことにずっと家にいるからといって勉強のやる気が出るわけではありません笑 なので課題が結構溜まってたのですが、最近ある程度課題が片付いてきたのでここ2、3日はYouTubeとかで過去の試合をたくさん観ております。
まあ僕の近況報告はおいといて今回はレガネス戦のマッチレビューを書きたいと思います。バレンシアに完敗した後に5-0で圧勝した試合という印象が強いと思いますが、実はこの試合ブライスワイトが出場しているのです!
この試合の1ヶ月後にバルサ所属となっていることを考えると少し面白いですね。さらにレガネスの監督は昔日本代表の監督務めたアギーレ!この試合の存在感は割と薄いですが、先ほど書かせていただいたようなことを考慮すると結構面白い試合です笑
■スターティングメンバー
セティエン就任当初から3バックを用いていたバルサはこの試合から4-3-3にシフトチェンジしていきます。一方のレガネスは3-4-2-1。守備時は5バックになることが予想されます。縦からの突破などが4バックよりも困難な5バックに対してどうアプローチしていくのでしょうか?また、レガネス側はおそらくバルサが3-1-4-2でくることを念頭に置いてると思うのでそこを頭に入れつつ試合を観ていきましょう。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
この試合でのバルサは4バック。当然3バックの時とはビルドアップの形が変化します。その変化については前回の記事で細かく触れさせていただいたのでまだ読んでない方はぜひ笑
と書こうと思っていたのですが、残念ながら記事が出来ていません泣
記事を書くために考えを整理してみたのですが、少し話の筋が合わないなってことに気付いてしまって… 筋が通り次第書こうかなと思います https://t.co/obWCbTITtQ
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年5月2日
4バックとの3バックの違い(ビルドアップ時)は、簡単に言えば3バックの中央がいるかいないかの違いだと思って、ここから先読んで欲しいです。
そしてレガネスはバルサがゾーン1でビルドアップしている時、積極的に前からプレスをかけにいきました。では、まず下の図をご覧ください。
ご覧の通り、レガネスはオールコートマンツーマンで前からはめこむプレスをしてきました。バルサのSBやインテリオールは、ビルドアップの時にプレスをかけられているのを見て最終ラインの方へ降りていきます 。これに対してそのままついていっても良いのですが、それだと後方に大きなスペースを空けてしまうことになります。レガネスの最終ラインはバルサのFWと数的同数ですしね。そこで降りる動きをしたSBやインテリオールが一見フリーであるように思わせ、彼らにボールが入った隙にプレスをかけにいきボールを奪おうとしたのです。
レガネスはおそらく3バックのバルサを想定していたと思いますが、バルサの前線の人数が1人減り、形に大きな変化もなかったので特に混乱することはなかったのでしょう。むしろ、ビルドアップに絡む人数が単純に1人減ったわけですからレガネスはバルサをプレスにはめてボールを奪うのは容易になったはずでした。しかし、実際はレガネスが必死にプレスをするもバルサが綺麗に崩してしまうというシーンが多々… では、なぜレガネスはプラスがはまりきらなかったのでしょうか?
例えば、ビダルにボールが入ったとしましょう。後方のスペースをケアしていたメサはビダルに前を向かせまいと急いでプレスをかけます。しかし、この時ブスケツをマークしているはずのブライスワイトはテアに対してプレスをかけにいったため、ブスケツはフリー。そこにビダルがブスケツにパスをし、レガネスのプレスをいなしていました。このようにSBやインテリオールを起点にしてボールが回るようになっていたわけです。
ではレガネスはどうすれば良かったのか。ビダルにボールが入ったときにパスコースがどこにも無いようにすればよかったのです。そのためにブライスイワトはプレスをかけにいくのではなくブスケツにボールが入らないようずっと警戒しておく必要があったのではないかなと思います。
しかし、このようにレガネスのプレスに隙があったとはいえ、それを活かしてしっかり相手のプレスを崩せるのはさすがです。あと最終ラインが数的同数なのですから裏へ向けてロングボールを蹴っても良かったのかなとは思いました。裏を狙う意志をレガネスに見せつければそこまで強気にプレスをかけにこれなくなりますからね。まあセティエンがずっとパスで繋ぐよう指示したのかと思いますが…
・押し込んだ時の攻撃
レガネスは前からのプレスがいなされてしまった後はすぐにリトリートし、5-4-1のブロックを作っていました。
この時、レガネスはは5-4-1のプレスを綺麗に維持することが最重要視されていたでしょう。(ゾーンプレスの意識が強い) そのため、バルサが押し込んだ時にほとんどレガネスが前からプレスをかけにきません。そんなレガネスの守備ブロックに対してバルサはどう崩そうとしたのかを見ていきましょう。
鍵を握っていたのは、そう、フレンキー!この試合からメッシとのポジションチェンジをするというタスクを担うようになります。なのでこの試合では、メッシが中盤に降りてきたら代わりにフレンキーがFWの位置に入るというようなプレーが多々見られました。では、メッシとポジションチェンジするというフレンキーのタスクはチームにどのような影響を与えていたのでしょうか?
例えばこのシーン。セメドがボールを持っていますが、もしフレンキーが最前線に立っていなければCBやSBはセメドに対してプレスをかけにいくことができたでしょう。彼があの場所にいることでセメドにスペースを与えることができたのです。また、フレンキーがメッシに代わって高い位置を取ることで中盤に人が集まりすぎることなくバランスのとれた三角形を作ることができます。
このようにフレンキーが高いポジションを取ることで右サイドでの調和が取れていました。ただ、フレンキーをこのタスクで使うのは本来のタスクと異なるので勿体無いようにも感じてしまいますが…
またこの試合ではグリーズマンやビダル、フレンキーがライン間で受けようとしていていて、かつパスを出す選手もライン間にボールを届けるという意識がありました。そのためライン間にボールを入れさせまいとレガネスは中央にブロックを固めます。ボールを出すところがないように思われますが、この時レガネスが中央に固めたためにサイドのスペースが開くのです。実際にファティと1対1になる機会が多かった右WBのロサレスはファティに苦戦。このように相手の守備の動きに合わせて攻撃をすることが出来たので前半に2点も取れました。
ただ、左サイドでは1つ問題が起こっていました。それはファティが左で張っている影響でアルバが低い位置にいることが多かったことです。
やはりアルバは高い位置で張ることで強みが出る選手ですからこの配置はよくありませんでした。理想をいうとアルバのいた位置にはアルトゥールのような選手が入ってほしいところです。クラシコなどではビダルをWGとして起用しましたが、それは幅を取ることが多いファティを外すことでアルバが低い位置にいることを減らそうとしたのではないかなと思いました。
・レガネスのボール保持時
バルサの守備
まず最初にバルサの守備を見ていきましょう。バルサはいつも通りブスケツをアンカー、メッシを1トップにそえた4-1-4-1。この試合でも前回対戦同様ゾーン1より前にはそこまでプレスをかけておらず、バラバラにプレスをかけて間延びしたりするのはあまり見れられませんでした。
レガネスの攻撃
レガネスはボールを奪ったら繋げるのではなくロングボールを蹴ることが多くありました。この時にロングボールを狙うのはアルバがいるサイド。アルバがオーバーラップして空いたスペースを使おうという意図があったのでしょう。このようなロングボールをブライスワイトが受けて攻撃の起点を作ろうとしておりましたが、この攻撃は上手くいきません。ではなぜ上手くいかなかったのか。それは守備時に全員自陣で引いてる影響でカウンター時の人数を確保できていなかったからです。
5-4-1であるため前線には1人しか残りません。しかしその1人も守備に参加していましたので当然カウンター時に起点となる人はおりません。この状態で強引にロングボールを蹴ってもレガネスに起点となる選手がいないので難なく弾き返せます。ある程度時間が経ってバルサが自陣に引いてきたとしてもやはりブライスワイトらがラングレやビダルに競り勝つのは困難です。このようにレガネスに攻撃の起点となれる選手がいなかったので有効な攻撃をすることができませんでした。個人的には守備時にブライスワイトを高い位置を取ってもらってボールを奪ったらブライスワイトに向けてロングボールに走らせるという感じの方が良かったのではないかなと思います。イメージはプレミアのカウンターみたいな感じですね。
しかし、実際の試合ではバルサが圧倒的な割には、レガネスにシュートを打たれることが多かったです。その理由はCBの守備対応が変更させられたことがあげられます。
例えばこのシーン。本来なら前へどんどん潰しにいくスタイルのピケが引いております。4-1-4-1の守備ブロックではアンカー脇が弱点であり普段はそこにボールを入れられた時はCBが前に出ることでカバーしていました。しかし、そのCBが前に出なくなったのでレガネスの選手は自由に前を向けます。幸いゴールからの距離が遠かったので失点することはありませんでしたが何度かヒヤヒヤさせられましたね。この変更はピケのたまに危なっかしいところを考慮したのだと思いますが、結果的には危険な局面を増やしてしまうことになりました。
攻撃、守備ともにレガネスを圧倒したバルサは前半時点で2-0。後半はレガネスの修正に注目です!
■後半
前半のバルサは、CBを前に出させないようにしていました。しかし、それは結果的にシュートを多く打たせてしまうことになったのでCBにいつも通りプレーしてもらうよう修正します。このような修正以外は前半と特に変えず後半に挑みます。
・レガネスの修正
①人への意識を強める
守備ブロックを組むときにブロックの維持を重要視していたがために前からプレスをかけにいかないなど、ゾーンプレスの意識が強めのレガネスでしたが、後半は人への意識を強くしバルサに余裕を与えないようにしました。
例えば前からプレスをするシーン。
前半は上の図のように完全なオールコートマンツーマンは行っていませんでした。しかし、後半は完全なオールコートマンツーマンを行うようになります。
少し見にくいですがボールを持ってるのはメッシです。ボールを受けるために降りていったメッシに対してCBが強く寄せています。このようなシーンはバルサに押し込まれるときにも見られ、そのせいでバルサはライン間で前を向くことが出来ませんでした。
そして、バルサに押し込まれた時の守備も変更します。
ライン間にボールを通されないよう警戒し余裕があれば相手をマークしつつ、ゆっくりとプレス。そしてこのプレッシングの遅さがバルサを苦しめました。以前紹介させていただいた動画ですが、この動画で遅いプレッシングの強みについてわかりやすく触れられているのでぜひ!
レアルソシエダのバルサ対策の戦術、マンツーマンハイプレス・サッカー学べる動画
②ボールを持つようになる
レガネスは攻撃面にも修正を施します。守備を改善しボールを奪う機会が増えたレガネスはロングボールによる攻撃を減らしポゼッションすることで点を取ろうとしました。では、どのように崩そうとしたのかを見ていきましょう。下の図をご覧ください。
図のように、WB、ボランチ、シャドーの選手が三角形を作ることでサイドを攻略しクロスを上げるというのを狙っていました。このようならサイドを崩されて危うく失点なんてシーンが何度かありましたね。
・試合の主導権を握ったレガネス
こうしてハーフタイムの修正によりレガネスが試合の主導権を握ることに成功しました。正直2-2になったりしてもおかしくなかったと思っております。しかし結果は後半に3失点。バルサは優勢ではなかったものの決定機をしっかり決め、ゴールを守り切りました。
しかし、カンプ・ノウで戦えたから圧勝できたというのも間違いなくあるでしょう。試合の流れをも変えることが出来るカンプ・ノウはバルサの大きな強みですがカンプ・ノウでなくてもしっかり勝てるようになって欲しいものです。
ただ、後半に主導権を握られたのはバルサが良くなかったというよりレガネスが的確な修正を行えたからだと思うので、セティエンに大きな責任があるとは思いませんが…
■雑感
どうだったでしょうか?個人的にはレガネスの修正によって試合の流れが変わったりしたのは観ててとても面白かったです笑 本編の方では触れていませんが、グリーズマンとアルトゥールが交代した後完全にWGとしてプレーし始めたフレンキーがとても上手だったことを印象に覚えています笑 運動量も比較的あり頭も抜群に良い選手なので大事に扱っていって欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました!