〜試合を面白くしたトゥヘルの対バイエルン戦術〜 【マッチレビュー】 19-20 UEFA Champions League 決勝 バイエルン・ミュンヘン対パリ・サンジェルマン
どうも!名もなきクレです!
今年のCL決勝は本当に面白い試合でしたね。両チームともメンバーがもの凄く豪華。そして改めてスター揃いなのにプレッシングが正確かつ高速なのは驚きを隠しきれませんでした。
今回は世界中のサッカーファンを興奮、感銘させた試合を思い出しながらこのマッチレビューを書いていきたいと思います笑
スターティングメンバー
前半
試合はパリのキックオフで始まったかと思えば、ボールを持つチアゴ・シウバにプレスをかけボールをロストさせたバイエルン。この試合でのインテンシティの高さを象徴させるようなスタートを切って試合は始まります。
また、同時にこのシーンは序盤の10分間バイエルンがパリを押し込むことも暗示するようなスタートでもありました。
■序盤を支配するも攻めきれないバイエルン
序盤10分にバイエルンが押し込めた要因として大きいのがやはりバイエルンの素早いネガティブトランジション。
前からのプレスの基本的なコンセプトはバルサ戦と同じくサイドのパスコースを切りながらプレスをかけ中央で相手を囲い込もうといったものでした。
バルサはボール保持時ビダルを左WGに添えた4-3-3のような形でした。
レヴァンドフスキ、ミュラーのどちらかがブスケツをマークしもう片方がCBに対してパスコースをカットしながらプレス。レヴァンドフスキ、もしくはミュラーがプレスをかけたCBの逆サイド側にいるSH(図だとニャブリ)がSB、CBのパスコースをカットしながらプレスしていました。
また、2ボランチはバルサのインテリオールを、両SBはバルサのWGを、CBのどちらかがスアレスをマークするという具合になっておりました。
このようなプレッシングにパリは苦戦し、ボールをうまく前進することができておりませんでした。
しかしトゥヘルはこのようなことが起こることを当然予想していたでしょう。
トゥヘルはバイエルンに点を与えないための守備の工夫をちゃんとチームに施していました。
図のようにSBがサイドにいる選手、CBがハーフスペースにいる選手、最終ラインの落ちていくマルキーニョスのような中盤の選手が中央の選手をケアすることで擬似的な5バックを作り、バイエルンの選手にハーフスペースの裏のスペースを使わせるのを阻止していました。
このような守備の工夫により試合序盤はバイエルンに押し込まれるも決定的なチャンスは作らせまま、パリにとって前半で一番ピンチであったであろう時間を乗り越えました。
■パリへ傾き始めた試合の流れ
突然ですが、良いネガティトランジションを行う条件について考えていきたいと思います。
良いネガティブトランジションを行うためには敵陣で味方の人数、配置を整え、ボールを奪われた後にその相手が孤立させれるようにしなければなりません。
そのために相手を深く押し込む攻撃をすることが良いネガティブトランジションに繋がりますが、先ほど書いた通りマルキーニョスらの気の利いた動きにより深く押し込むことができていないバイエルン。
このようにしてバイエルンのネガティブトランジションがいつもより機能しなくなったことによりパリがボールを持てるシーンは増えていきます。
そしてボールを持てるようになったパリの狙いは主に2つ。SB裏、特にキミッヒサイドの突破とネガティブトランジションからのショートカウンターでした。
・バイエルンの守備の弱点
試合をご覧いただいた方ならおわかりだと思いますが、バイエルンの作る守備ブロックはものすごくコンパクト。誰がどう見てもサイドをえぐりたくなるような形をしております。
そしてキミッヒもデイビスも裏を取ってこようとしてくる相手への対処がそこまで上手くないんですよね。
なので、もちろんパリはSB裏のスペースをムバッペにえぐらせようとしていました。
ただ、バイエルンのCBはスプリント力があるメンバー、そして何よりアトレティコのように全員が素早く守備に切り替えることができるメンバー。
最低限CB裏に直接裏を取られらないようにしてはいましたが、たとえSB裏にムバッペが入り込んだとしてもバイエルンの選手はなんとかゴールの前で壁を作って守っていました。
そしてこのようにある人で壁を作るような守備であったために、シュートコースを一つに絞ることができていました。
だからこそ、ノイアーの神セーブが連発したのはあるのかなと思っています。もちろんノイアーの一対一の対応がものすごく上手というのはありますがね笑
ここで一つ、ノイアーのスーパーセーブが起きたシーンを例として取り上げさせていただきます。
正直、ハイライトを見ていただいた方がわかりやすいと思うのでぜひハイライトをご覧ください!
・パリのショートカウンター
パリもバイエルン同様素早いネガティトランジションによってボールを奪いショートカウンターを行おうとしておりました。
そして試合が進み、25分頃から本格的にパリがバイエルンを押し込める機会が増えていったことでトゥヘルの仕込んだ前プレが機能しはじめました。
■バイエルンの修正
このように、試合のペースがパリに傾いていく中バイエルンはクロスを上げることで強引にゴールを奪おうとするも上手くいかないバイエルン。
そんな矢先に起こったのがチアゴ・シウバのアクシンデント。幸い彼はすぐ試合に戻ることができましたが、ハンジ・フリックは最終ラインからボールを出してニャブリ、コマンに直接ハーフスペースを使おうとするよう指示しました。
要するに、「パリの中盤が降りてきて擬似的な5バックにされる前に攻め切っちゃおう!」というような意図でこのような指示を出したのでしょう。
このようなロングボールに対してパリは多少苦戦を強いられ、修正前に比べてバイエルンは深く押し込む頻度が増えました。
しかし、結局ゴールは奪えないまま前半は終了します。
どうやらハンジ・フリックがバイエルンに就任してから前半に無得点なのは初めてだとのこと。どんだけ強いんだよとツッコミたくなりますが、パリの守備、プレッシングが良かったですから無得点なのは納得の前半ではありました。
後半
前半は両チームの精度が高く早いプレッシング合戦のような展開でありましたが、後半は疲れもあってか試合全体のペースは緩やかになっていきました。
■一枚上手だったバイエルン
両チームとも疲れが溜まってきていたとは思いますが、やはり前半に比べて特にインテンシティが落ちてしまっていたのはパリでした。
そのため、パリの前プレの頻度が落ち、前半に比べてバイエルンがショートカウンターをされることが減りました。
後半はこうしてバイエルンがパリ陣内でボールを持つ時間がさえたのです。
このようにズルズル自陣に追い込まれていったパリは、ボールを奪ったとしてもバイエルンのネガティブトランジションに苦戦。この時のバイエルンは敵陣で味方の人数、配置を整えることができておりましたからね。
そして迎えた59分。パリのブロックの手前でキミッヒがあげたクロスに、中央にいたレヴァンドフスキ、ミュラーのおかげでフリーになっていたコマンがヘディングを合わせてゴール。バイエルンは大きな先制点を決め、ビッグイヤー獲得に向けて一歩前進しました。
その後はオープンな展開になっていきパリが個の能力で何回もシュートまで辿り着きますが、やはりノイアーの好セーブが続き、試合はそのまま1-0で終了します。
雑感
まずはバイエルンおめでとうございます👏 この世界一レベルの高いであろうコンペディションを無敗優勝するのは本当に凄い!
惜しくもCL初タイトルを逃してしまいましたが、パリも素晴らしいサッカーをありがとうございました。バイエルンに対してちゃんとした対策を練り、どちらが勝つかわからない展開にしてくれたパリのサッカーには楽しまされました。
そして改めて本当に観てて楽しい試合でした。やはり選手全員が全力で走ってサッカーをしているのを観るのは良いですね。
バルサが2-8でボコボコなのは当たり前だったと何度も痛感しました笑
スアレスやラキティッチが退団してしまうことが濃厚らしいですが、来季以降このCL決勝の舞台で素晴らしいサッカーを魅せれるクラブに戻って欲しいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!