〜流れを制したビルバオ〜 国王杯 準々決勝 ビルバオ対バルセロナ
どうも!名もなきクレです!
レバンテ戦観ようかなと思ってバルサの公式サイトを開いたのですが、なぜか観れなかったのでラスト、ビルバオ戦のマッチレビューを書きたいと思います
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年5月9日
こういう理由で、レバンテ戦を飛ばし今回はビルバオ戦のマッチレビューを書きます! ビルバオ戦をきっかけにブログを書きはじめたので個人的には思い入れ深い試合です笑
ビルバオ戦を観て思ったこと - 名もなきクレのブログ
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年2月8日
めっちゃ読みにくいと思いますが、読んでいただけたら嬉しいです。 https://t.co/A0pQMxtRIN
そして、改めて思い返せば第1節でアドゥリスのゴラッソをくらって10年振り?の黒星スタートを切りましたね。今シーズンは特に苦戦していますが、そのビルバオの戦い方を注目して観たいと思います。
■スターティングメンバー
・バルサ
セティエン就任から全試合先発出場していたグリーズマンがスタメンから外れます。そして代わりに先発となったのはロベルト。ロベルトが右に入りメッシは中央に入りました。このスタメンだけ見ると所謂0トップをすることが出来そうですが、どのようにしてビルバオの守備を崩そうとするのか必見です。
・ビルバオ
一方のビルバオは3-4-2-1のフォーメーション。おそらく、オールコートマンツーマンをしてくるでしょう。4-3-3との噛み合わせを考えるとブスケツをマンマークする人がいませんが、そこら辺はどう対応するのでしょうか。
前半
■バルサのボール保持時
・ビルドアップ
ビルバオのオールコートマンツーマン
バルサはいつも通りCBとアンカー、インテリオール、SBでひし形をつくってビルドアップをします。
一方のビルバオは案の定、オールコートマンツーマンで試合に臨みました。この時、ムニアインをトップ下に置き、3-4-1-2のようなフォーメーションでした。そして、2トップの位置にいるイニャキとガルシアはテアとCBのパスコースをカットしながらゆっくりとプレスをかけにいきます。
バルサはロングボールを使わないビルドアップによりビルバオのマークを崩そうとしますが、ビルバオはボールを奪うことよりも人につくことを優先しているのでフリーマンがあまりできません。そのためビルドアップから有効的な攻撃を作るどころかビルバオに奪われることが度々…
前半15分の変更
そこで、前半15分に、最前線にいる選手が1列降りてそこでロングボールを受けさせるようにしました。
ビルバオはバルサの選手をマンマークしているわけですから、インテリオールやブスケツがボールを受けに行こうとすれば当然マークしているビルバオの選手も降りていきます。その時に空いてくるのがブスケツの後ろのスペース。このスペースを使うべく、テアは1列降りてきたメッシやロベルトにロングボールを蹴ったわけです。また、たまにフレンキーが1列上がりボールを受けることもありました。
屈強なビルバオ
この変更はセティエンの意思によって変えられたのか、それともテアの独断による変更だったのかはわかりませんが、結構ビルバオに脅威を与えることができていました。しかし、このようなことをされるのをもちろんビルバオは承知していたでしょう。ここでビルバオがマークを緩めてしまえばバルサの選手が自由にビルドアップできるようになりますから、彼らは同じプランで戦い続けました。これは、優れたフィジカルを持った選手が多いビルバオだからこそできる戦い方ですね。
30分37秒のシーンのようにビルドアップ中のパスミス(ラキティッチとテアの連携ミス)からショートカウンターをすることができてますし、同じ戦い方を貫いたビルバオの判断は正しかったと言えるでしょう。
バルサはビルバオのCBの能力が高いのもあり得点をすることができませんでした。しかし、的確に相手の嫌なところをつけたということは評価しても良いのではないでしょうか。
・押し込んだ時の攻撃
バルサはビルバオを押し込めた時は、いつも通りWGが中に絞りSBが高い位置をとっていました。ではビルバオはどのようにしてバルサから得点を奪われないようにしたのでしょうか。
ビルバオの守備ブロック
図のようにビルバオは5-2-1-2のような守備ブロックで守ってきました。この守備ブロックはアトレティコのようなゾーンプレスとは違い、またリヴァプールのプレッシングをしているかのような守備ブロックとも異なります。「さすがに後ろが怖いからWBは最終ラインまで下がるけど他はほぼマンマークだよ」というような感じでした。なのでサイドに追い込もうといったような意識は感じられませんでしたが、人への意識が強かったです。
ビルバオのブロックを崩す方法その1
マンマークによる守備は相手との1対1で負けないことで優位性が保たれています。そのためバルサの選手がビルバオの選手との1対1に勝利することでビルバオの守備に大きな打撃を与えることができます。もう言うまでもありませんよね笑 彼はビルバオからしたら厄介すぎるのです。例えば4分の決定機。あれは完全にメッシの個人技によってチャンスが作られました。
ビルバオのブロックを崩す方法その2
この方法はビルバオに限った話ではありませんが、最近のバルサ(特にアウェー)で出来ていないことです。それはスペースを使おうとしたり広げようとする動くが少ないことです。
例えばこのシーン。ブロックの外でブスケツがプレッシャーを全く受けずにボールを持っています。角度といい敵の場所といい、誰かが裏へ抜ける動きをしていればもしかしたら決定的なチャンスになっていたかもしれません。もし敵がついてきたとしても、その選手がいた場所にスペースができてそこを誰かが使って… このようにして誰かがランニングをすればチャンスになったかもしれません。この場所からアシストをするのはさすがのブスケツでも難しいのかもしれませんが、各選手の動きが少なかったので決定的なチャンスを作ることはできませんでした。止まって受けようとする選手ばかり…
このようなことを意識していただければご理解いただけると思いますが、セメドがいかに攻撃面で貢献してくれているか。彼は裏へのランニングを何度もしてくれていました。実際に6分頃にはセメドが決定機を作っていましたね。もしファティやロベルトが積極的に動けていたら決定機が増えてどこかで点が入ってたのかもしれません。そういう意味でもやはりアルバはバルサにとって欠かせない選手なのかなとは思います。
■ビルバオのボール保持時
では次にビルバオのボール保持時を見ていきましょう。
・ビルドアップ
各チームに狙い
バルサはおなじみの4-1-4-1 でプレスをかけにいきました。バルサのSBはビルバオのWBにボールが入ったら厳しくプレスをかけに行っていたので「WBにボールが入ったら奪おう」というようなプランであったと思います。それに対してビルバオのビルドアップにはCBと2ボランチ、WBが参加しボランチはだいたい同じくらいの高さのままポジショニングします。そしてとりあえずシャドー(ムニアインとラウール・ガルシア)に楔のパスを通そうとしていました。シャドーにボールが入った後イニャキにスルーパスをしたりすることが何度か。できるだけバルサが引き切らないうちに攻め切りたいというような意思を感じました。
詰まった時のプラン
しかし、常に楔のパスを通せるほどバルサの守備はザルではありません。そのためビルドアップが詰まったら無理せずにロングボールを蹴ることが多かったです。この時にロングボールを蹴る方向は空中戦が特に強いラウール・ガルシアがいるサイド。また、イニャキの裏抜けを期待してか、CB裏にまでボールを飛ばすこともありました。
・押し込んだ時の攻撃
試合を観る前は「WBでクロスをたくさんあげるのかな?」と思っていました。しかし実際に試合を観てみればムニアインやイニャキがチャンネルランを繰り返しています。そしてラウール・ガルシアはゴール前で競り合うためにチャンネルランをせず中央で待機していました。
このようにクロスを出し空中戦で勝利して得点しようとしていましたが、バルサのCBも競合いは強いです。そのため何度かヒヤヒヤするシーンは作りましたが、結局得点には至りませんでした。
後半
両チームとも得点には至らないまま迎えた後半。両チームとも特別悪かったわけでもなかったので大きな変更は行いませんでしたが、ビルバオは少しだけ戦い方を変更しました。
■ビルバオの修正
前半よりも前からプレスする時のインテンシティを下げてるように感じました。また、ボールを回しチャンネルランをしている選手にパスを出そうとする意思を感じた前半でしたが、ロングボールを用いての攻撃が増加します。例えばGKが裏へのロングボールをイニャキに蹴ったり持ち上がったWBがシンプルにクロスを上げたりするプレーなど。
修正の意図
ではなぜこのような修正を施したのでしょうか?それは後方にスペースを空けてしまうことを恐れたからだと考えられます。
先程述べた通り、前半のバルサはビルバオのオールコートマンツーマンの仕組みを利用してブスケツの後ろに空いたスペースをメッシが降りたりして使っていました。また、ビルバオがバルサを押し込んだ後にメッシが個人技で突破してチャンスを作るシーンも何度か。そのようなプレーをされないために無難な方法を選んだのでしょう。
攻められるビルバオ
このようにビルバオは無難とも言える修正を施したわけですが、実際はそこまで上手くいきませんでした。それは結果としてバルサに時間的な余裕を与えてしまうことになり、逆にバルサがビルバオに簡単に押し込めるようになったからです。そうしてビルバオは54分頃に前半と同程度のインテンシティに戻すのでした。
■攻め続けるバルサ
54分にインテンシティを戻したビルバオ。これでバルサの勢いは止まるかと思われました。しかし、セティエンはその直後にグリーズマンの投入を決意します。この日のファティは少し止まって受けることが多くなっていましたが、積極的にグリーズマンが入った影響か周りの選手も積極的に動くようになりました。(ロベルト、フレンキー)
この試合で、ランニングを積極的に繰り返してくれてたのはセメドとアルバくらいでした。そのためメッシやブスケツなどのパスの出し手はいるのに受け手がいないなんてことが何度か。しかし、グリーズマンが入り周りの選手が動くようになったことで攻撃がうまくいくようになったのです。
しかしチャンスは作れても点を決めることができませんでした。そして75分頃には再び選手の動きが減ります。こうしてうまく攻めることができなくなりました。
■流れを変えたアドゥリス
78分、攻めがうまくいかなくなったバルサに対して、ビルバオはアドゥリスを投入することで状況を打開しようとしました。そう、19-20シーズンの開幕戦でゴラッソを決めたあのアドゥリスです。彼が途中出場したことで間違いなくビルバオの士気は高まったでしょう。その証拠として、少し下がっていたビルバオのインテンシティがアドゥリス投入後に上がっています。先程述べた通りこの時間帯のバルサはうまくいってなかったのもあってビルバオがボールを持てる時間はちゃんと与えられていました。このように、バルサの調子が落ちて逆にビルバオの調子が上がったことが、試合終盤で失点をしてしまった原因なのではないでしょうか?
こうしてバルサは0-1で敗北し、国王杯を敗退したのです。
雑感
自分の中では結構、衝撃的な出来事のように感じましたが今改めて見ると運が悪かったように感じます。まあ、こういう試合でも勝てることがCLを取れるチームの条件だとも思うのでやはり勝ってほしいですが…
ただ、バルベルデ時代の複雑なチームバランスのままポゼッションをして勝利してというのは僕らが思っている以上に難しいことだと思いますから、セティエンに対してはもう少し優しい目で見てほしいなとは思いますね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
〜試合の流れを変えたはずのレガネス〜 国王杯 4回戦 バルセロナ対レガネス
どうも!名もなきクレです!
突然ですが、学生の方は課題とかどうでしょうか?僕は不思議なことにずっと家にいるからといって勉強のやる気が出るわけではありません笑 なので課題が結構溜まってたのですが、最近ある程度課題が片付いてきたのでここ2、3日はYouTubeとかで過去の試合をたくさん観ております。
まあ僕の近況報告はおいといて今回はレガネス戦のマッチレビューを書きたいと思います。バレンシアに完敗した後に5-0で圧勝した試合という印象が強いと思いますが、実はこの試合ブライスワイトが出場しているのです!
この試合の1ヶ月後にバルサ所属となっていることを考えると少し面白いですね。さらにレガネスの監督は昔日本代表の監督務めたアギーレ!この試合の存在感は割と薄いですが、先ほど書かせていただいたようなことを考慮すると結構面白い試合です笑
■スターティングメンバー
セティエン就任当初から3バックを用いていたバルサはこの試合から4-3-3にシフトチェンジしていきます。一方のレガネスは3-4-2-1。守備時は5バックになることが予想されます。縦からの突破などが4バックよりも困難な5バックに対してどうアプローチしていくのでしょうか?また、レガネス側はおそらくバルサが3-1-4-2でくることを念頭に置いてると思うのでそこを頭に入れつつ試合を観ていきましょう。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
この試合でのバルサは4バック。当然3バックの時とはビルドアップの形が変化します。その変化については前回の記事で細かく触れさせていただいたのでまだ読んでない方はぜひ笑
と書こうと思っていたのですが、残念ながら記事が出来ていません泣
記事を書くために考えを整理してみたのですが、少し話の筋が合わないなってことに気付いてしまって… 筋が通り次第書こうかなと思います https://t.co/obWCbTITtQ
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年5月2日
4バックとの3バックの違い(ビルドアップ時)は、簡単に言えば3バックの中央がいるかいないかの違いだと思って、ここから先読んで欲しいです。
そしてレガネスはバルサがゾーン1でビルドアップしている時、積極的に前からプレスをかけにいきました。では、まず下の図をご覧ください。
ご覧の通り、レガネスはオールコートマンツーマンで前からはめこむプレスをしてきました。バルサのSBやインテリオールは、ビルドアップの時にプレスをかけられているのを見て最終ラインの方へ降りていきます 。これに対してそのままついていっても良いのですが、それだと後方に大きなスペースを空けてしまうことになります。レガネスの最終ラインはバルサのFWと数的同数ですしね。そこで降りる動きをしたSBやインテリオールが一見フリーであるように思わせ、彼らにボールが入った隙にプレスをかけにいきボールを奪おうとしたのです。
レガネスはおそらく3バックのバルサを想定していたと思いますが、バルサの前線の人数が1人減り、形に大きな変化もなかったので特に混乱することはなかったのでしょう。むしろ、ビルドアップに絡む人数が単純に1人減ったわけですからレガネスはバルサをプレスにはめてボールを奪うのは容易になったはずでした。しかし、実際はレガネスが必死にプレスをするもバルサが綺麗に崩してしまうというシーンが多々… では、なぜレガネスはプラスがはまりきらなかったのでしょうか?
例えば、ビダルにボールが入ったとしましょう。後方のスペースをケアしていたメサはビダルに前を向かせまいと急いでプレスをかけます。しかし、この時ブスケツをマークしているはずのブライスワイトはテアに対してプレスをかけにいったため、ブスケツはフリー。そこにビダルがブスケツにパスをし、レガネスのプレスをいなしていました。このようにSBやインテリオールを起点にしてボールが回るようになっていたわけです。
ではレガネスはどうすれば良かったのか。ビダルにボールが入ったときにパスコースがどこにも無いようにすればよかったのです。そのためにブライスイワトはプレスをかけにいくのではなくブスケツにボールが入らないようずっと警戒しておく必要があったのではないかなと思います。
しかし、このようにレガネスのプレスに隙があったとはいえ、それを活かしてしっかり相手のプレスを崩せるのはさすがです。あと最終ラインが数的同数なのですから裏へ向けてロングボールを蹴っても良かったのかなとは思いました。裏を狙う意志をレガネスに見せつければそこまで強気にプレスをかけにこれなくなりますからね。まあセティエンがずっとパスで繋ぐよう指示したのかと思いますが…
・押し込んだ時の攻撃
レガネスは前からのプレスがいなされてしまった後はすぐにリトリートし、5-4-1のブロックを作っていました。
この時、レガネスはは5-4-1のプレスを綺麗に維持することが最重要視されていたでしょう。(ゾーンプレスの意識が強い) そのため、バルサが押し込んだ時にほとんどレガネスが前からプレスをかけにきません。そんなレガネスの守備ブロックに対してバルサはどう崩そうとしたのかを見ていきましょう。
鍵を握っていたのは、そう、フレンキー!この試合からメッシとのポジションチェンジをするというタスクを担うようになります。なのでこの試合では、メッシが中盤に降りてきたら代わりにフレンキーがFWの位置に入るというようなプレーが多々見られました。では、メッシとポジションチェンジするというフレンキーのタスクはチームにどのような影響を与えていたのでしょうか?
例えばこのシーン。セメドがボールを持っていますが、もしフレンキーが最前線に立っていなければCBやSBはセメドに対してプレスをかけにいくことができたでしょう。彼があの場所にいることでセメドにスペースを与えることができたのです。また、フレンキーがメッシに代わって高い位置を取ることで中盤に人が集まりすぎることなくバランスのとれた三角形を作ることができます。
このようにフレンキーが高いポジションを取ることで右サイドでの調和が取れていました。ただ、フレンキーをこのタスクで使うのは本来のタスクと異なるので勿体無いようにも感じてしまいますが…
またこの試合ではグリーズマンやビダル、フレンキーがライン間で受けようとしていていて、かつパスを出す選手もライン間にボールを届けるという意識がありました。そのためライン間にボールを入れさせまいとレガネスは中央にブロックを固めます。ボールを出すところがないように思われますが、この時レガネスが中央に固めたためにサイドのスペースが開くのです。実際にファティと1対1になる機会が多かった右WBのロサレスはファティに苦戦。このように相手の守備の動きに合わせて攻撃をすることが出来たので前半に2点も取れました。
ただ、左サイドでは1つ問題が起こっていました。それはファティが左で張っている影響でアルバが低い位置にいることが多かったことです。
やはりアルバは高い位置で張ることで強みが出る選手ですからこの配置はよくありませんでした。理想をいうとアルバのいた位置にはアルトゥールのような選手が入ってほしいところです。クラシコなどではビダルをWGとして起用しましたが、それは幅を取ることが多いファティを外すことでアルバが低い位置にいることを減らそうとしたのではないかなと思いました。
・レガネスのボール保持時
バルサの守備
まず最初にバルサの守備を見ていきましょう。バルサはいつも通りブスケツをアンカー、メッシを1トップにそえた4-1-4-1。この試合でも前回対戦同様ゾーン1より前にはそこまでプレスをかけておらず、バラバラにプレスをかけて間延びしたりするのはあまり見れられませんでした。
レガネスの攻撃
レガネスはボールを奪ったら繋げるのではなくロングボールを蹴ることが多くありました。この時にロングボールを狙うのはアルバがいるサイド。アルバがオーバーラップして空いたスペースを使おうという意図があったのでしょう。このようなロングボールをブライスワイトが受けて攻撃の起点を作ろうとしておりましたが、この攻撃は上手くいきません。ではなぜ上手くいかなかったのか。それは守備時に全員自陣で引いてる影響でカウンター時の人数を確保できていなかったからです。
5-4-1であるため前線には1人しか残りません。しかしその1人も守備に参加していましたので当然カウンター時に起点となる人はおりません。この状態で強引にロングボールを蹴ってもレガネスに起点となる選手がいないので難なく弾き返せます。ある程度時間が経ってバルサが自陣に引いてきたとしてもやはりブライスワイトらがラングレやビダルに競り勝つのは困難です。このようにレガネスに攻撃の起点となれる選手がいなかったので有効な攻撃をすることができませんでした。個人的には守備時にブライスワイトを高い位置を取ってもらってボールを奪ったらブライスワイトに向けてロングボールに走らせるという感じの方が良かったのではないかなと思います。イメージはプレミアのカウンターみたいな感じですね。
しかし、実際の試合ではバルサが圧倒的な割には、レガネスにシュートを打たれることが多かったです。その理由はCBの守備対応が変更させられたことがあげられます。
例えばこのシーン。本来なら前へどんどん潰しにいくスタイルのピケが引いております。4-1-4-1の守備ブロックではアンカー脇が弱点であり普段はそこにボールを入れられた時はCBが前に出ることでカバーしていました。しかし、そのCBが前に出なくなったのでレガネスの選手は自由に前を向けます。幸いゴールからの距離が遠かったので失点することはありませんでしたが何度かヒヤヒヤさせられましたね。この変更はピケのたまに危なっかしいところを考慮したのだと思いますが、結果的には危険な局面を増やしてしまうことになりました。
攻撃、守備ともにレガネスを圧倒したバルサは前半時点で2-0。後半はレガネスの修正に注目です!
■後半
前半のバルサは、CBを前に出させないようにしていました。しかし、それは結果的にシュートを多く打たせてしまうことになったのでCBにいつも通りプレーしてもらうよう修正します。このような修正以外は前半と特に変えず後半に挑みます。
・レガネスの修正
①人への意識を強める
守備ブロックを組むときにブロックの維持を重要視していたがために前からプレスをかけにいかないなど、ゾーンプレスの意識が強めのレガネスでしたが、後半は人への意識を強くしバルサに余裕を与えないようにしました。
例えば前からプレスをするシーン。
前半は上の図のように完全なオールコートマンツーマンは行っていませんでした。しかし、後半は完全なオールコートマンツーマンを行うようになります。
少し見にくいですがボールを持ってるのはメッシです。ボールを受けるために降りていったメッシに対してCBが強く寄せています。このようなシーンはバルサに押し込まれるときにも見られ、そのせいでバルサはライン間で前を向くことが出来ませんでした。
そして、バルサに押し込まれた時の守備も変更します。
ライン間にボールを通されないよう警戒し余裕があれば相手をマークしつつ、ゆっくりとプレス。そしてこのプレッシングの遅さがバルサを苦しめました。以前紹介させていただいた動画ですが、この動画で遅いプレッシングの強みについてわかりやすく触れられているのでぜひ!
レアルソシエダのバルサ対策の戦術、マンツーマンハイプレス・サッカー学べる動画
②ボールを持つようになる
レガネスは攻撃面にも修正を施します。守備を改善しボールを奪う機会が増えたレガネスはロングボールによる攻撃を減らしポゼッションすることで点を取ろうとしました。では、どのように崩そうとしたのかを見ていきましょう。下の図をご覧ください。
図のように、WB、ボランチ、シャドーの選手が三角形を作ることでサイドを攻略しクロスを上げるというのを狙っていました。このようならサイドを崩されて危うく失点なんてシーンが何度かありましたね。
・試合の主導権を握ったレガネス
こうしてハーフタイムの修正によりレガネスが試合の主導権を握ることに成功しました。正直2-2になったりしてもおかしくなかったと思っております。しかし結果は後半に3失点。バルサは優勢ではなかったものの決定機をしっかり決め、ゴールを守り切りました。
しかし、カンプ・ノウで戦えたから圧勝できたというのも間違いなくあるでしょう。試合の流れをも変えることが出来るカンプ・ノウはバルサの大きな強みですがカンプ・ノウでなくてもしっかり勝てるようになって欲しいものです。
ただ、後半に主導権を握られたのはバルサが良くなかったというよりレガネスが的確な修正を行えたからだと思うので、セティエンに大きな責任があるとは思いませんが…
■雑感
どうだったでしょうか?個人的にはレガネスの修正によって試合の流れが変わったりしたのは観ててとても面白かったです笑 本編の方では触れていませんが、グリーズマンとアルトゥールが交代した後完全にWGとしてプレーし始めたフレンキーがとても上手だったことを印象に覚えています笑 運動量も比較的あり頭も抜群に良い選手なので大事に扱っていって欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
〜ビダルに依存するバルサ〜 La Liga 第21節 バレンシア対バルセロナ
どうも!名もなきクレです!みなさんはバレンシア戦にはどんな思い出があるでしょうか?前回対戦はカンプ・ノウでしたが5-2で勝利してましたし、この時点では一応無敗だったセティエンバルサ。僕はなんとかなるんじゃないかと楽観視していましたが、そこまで上手く物事は進まず、現実を思い知らされる試合でした。そして、原点回帰の道はやはり厳しいものだと。そんなバレンシア戦について今回はふりかえっていきたいと思います。余談ですが、この3rdユニの色合いが凄く大好きで笑 特に、後半に入ってきたコシャドの3rdユニ姿が印象的です笑
■スターティングメンバー
バルサはグラナダ戦、イビサ戦の時と同じく3-1-4-2のフォーメーションで試合に挑みます。中盤はフレンキー、アルトゥール、ブスケツのロマン溢れる人選。そしてファティは苦手な右WBをつとめています。
前回の記事でファティ右WB起用の理由などについて書かれていただいたのでまだ読んでないって方はぜひ!
ペレス放出の理由からセティエンのサッカー観を読み解く - 名もなきブログ
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月21日
更新しました!我ながら良い記事になったと思っているのでぜひ読んで欲しいです笑 https://t.co/6KYsqLUNC7
一方のバレンシアはオーソドックスな4-4-2。フェラン・トーレス、ガヤ、ゴンドグビア、マキシ・ゴメスなどの選手が注目です。そしてバルサを苦しめたバレンシアの守備も必見です。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
バレンシアは後方での数的同数を受け入れてオールコートマンツーマンをしてきました。また、ヴァスはアルバに対してプレスをかけに行くのでヴァスの後方に大きなスペースが空いていました。当然バルサはその弱点を突いていく必要があります。しかしバルサの選手があのスペースを使おうとしないのでヴァスは遠慮なくプレスにをかけに行くことができました。ヴァスの裏のスペースや最終ラインの裏にロングボールを蹴っていたりしていればバレンシアの選手もそこまでガツガツプレスに来れなかったでしょう。この試合ではロングボールを有効的に使えていませんでしたが、最近の試合では適度にロングボールを使えているので、先を見通した評価をすればそこまで悪くはないのかなと思いました。
あと2トップのプレスのかけ方が上手い!片方がブスケツをマークして片方はプレスをかけに行く、言葉で言うのは簡単ですがそれを当たり前のようにできるのは素晴らしいです。もしメッシ、スアレスもあれくらい守備してたら得点は減りますが、昨シーズンCL取れてたでしょうね泣 そしてボランチのマークも厳しく、バルサの中盤はそのプレッシャーに苦しみました。そのプレッシャーから逃れるためにフレンキーが右SBの位置に降りてビルドアップをするシーンもありましたね。
押し込んだ時の攻撃
ビルドアップで苦戦気味だったバルサはバレンシアを押し込んで攻撃をする時にも苦戦します。バレンシアのインテンシティが高いのもありますが、相手の1列目(2トップ)までのところになんとバルサの選手は5人いたのです。ボランチを含めずに考えたら5対2の数的有利。これだけ後方に人がいたら前線の選手が孤立するのも無理はありません。
また、バレンシアのボランチは上の図のように一人がパスコースをカット、もう一人がその人に寄せるというふうにしていたのも前進が上手くいかなかった要因の一つです。そしてついにはバレンシアのPKをテアが弾いて命拾いをしたあと、メッシも中盤に降りてくるようになりグリーズマンも孤立しだします… バレンシアの最終ラインはメッシが降りてもついていかないなど完全なゾーンプレスで守備をしていたのもありますが、それでもほとんど最終ラインの選手に恐怖を与えることができていませんでした。
上の写真をご覧ください。これは32分54秒のシーンを切り取ったものですが、わかりやすくアルバとグリーズマンが孤立しています。このように各選手が距離感が遠くなるとパスを回しにくくなり、連携の良さを活かせなくなってしまうのは想像に容易いでしょう。また、ボールを奪われた時に距離感が遠いので即時奪還をするのが難しくなります。ですから相手を崩しに行くときは距離感が適度に近い方が良いわけですがバルサはそれができていませんでした。そしてこちらの写真も御覧ください。
この写真は20分18秒のシーンです。中央にいたグリーズマンがバレンシアの右CB、ガライを引きつけてサイドに流れ中央に広大なスペースを作りますが、誰かが走り込んでくる気配はありません。先程ご覧いただいた写真でもチャンネルランする選手がいたらチャンスになっていたかもしれませんね。このように選手各々のスペースを使う意識が欠けており、チームとしての流動性がありませんでした。
今改めて見ると結構バレンシアにも隙がある感じだったので見ていて少しもどかしかったです笑 余談ですが、先ほどお話しさせていただいた、フレンキーの右SBに降りて行く動きはメッシが中盤に降りてきたことが影響しているのかなと思いました。ただ、周りを見てポジショニングできているのは良いことですがこの時に右SBの位置にいるべきかというと…
そしてバレンシア戦以降、セティエンはチームとしての流動性が無く前線にいる人数が少ないという問題を解決すべく、「メッシが降りてきたらメッシの代わりに高い位置を取る」というビダル的な役割をフレンキーに任せていきます。失敗が比較的多い試合ではありましたが、次節以降の布石になっている部分が多いのでそういう意味では面白い試合でした笑
・バレンシアのボール保持時
ビルドアップ
ではバレンシアのビルドアップを見ていきましょう。バレンシアのビルドアップ時にはゴンドグビアとソレールが1列落ち4-3-3のような陣形になっていましたが、ビルドアップの目的が少し違いました。それはあくまでサイドバックがオーバラップするための時間稼ぎが目的であるということです。そして、SBが上がりきったらSBやCFにに対してロングボール。また、アルバがいる方のサイドに狙ってロングボールを蹴ることが多く見られました。シンプルな攻撃ですが、バルサのCBたちはバレンシアのWG(トーレスやゴメス)も見ていなければならなかったので意外と苦戦します。
一方バルサは4-1-4-1のブロックで前からのプレスをしました。「バレンシア戦でもどうせ狙いもなくただ闇雲にプレスかけに行ってる感じ何だろうな」と思っていたのですが、実際の試合では意外と引き気味。良い意味でバルベルデ時代の4-4-0リトリートサッカーの恩恵が出たのかなと思いました。まあこの試合での前からはめ込むプレスがうまく行ってるように見えたのは、あくまでバレンシアのビルドアップは、ポゼッションするためのビルドアップではなかったのも関係あるのかもしれませんが。
このように、SBなどに対してロングボールを蹴ってサイドからの突破を試みていましたが、さすがにその攻撃だけでは上手くいきません。ではどのようなプランでバレンシアはバルサから点を奪おうとしたのでしょうか?
ロングボールにより作られるカオスな状況を活かした攻撃
ロングボール単体を処理するのは難しくありません。しかし、問題はその後。ヘディングで正確に誰かの足元に落とすのは難しいです。なのでバレンシア側にはボールを奪うチャンスができます。そして、中盤にはボールを奪い取る能力に優れたゴンドグビアがいるので、ゴンドグビアが奪ったらインテリオールの位置にいるソレールやコクランにパスを出していました。その後はソレールやコクランから幅を取っているSBに良いパスを出してサイドを駆け抜けます。この時バルサの守備陣形は整ってはいないので結構難しい守備対応を強いられていました。
このように、ロングボールを蹴ることで意図的にショートカウンターをしやすい状況を作り、ショートカウンターで点を奪おうとしました。PKになったシーンもバルサがロングボールの処理を誤ったことでオープンな状況になり、ショートカウンターを食らったことが原因でしたね。
バルサの攻撃が上手くいかないのもあってバレンシアのショートカウンターを受ける頻度が多くなりましたが、なんとかテアが神セーブを連発してくれたおかげで0-0で前半を終えます。距離感の悪さをセティエンはどのようにして解決しようとするか必見です。
■後半
バレンシアは前半と同じシステムのままで後半に臨みました。では、セティエンがどのような修正を施したのか見ていきましょう。
・バルサの修正
①インテリオールが高い位置にいるようにする
②ビダル投入
シンプルな修正ですが、これだけで見違えるほどパフォーマンスは良くなりました。特に左サイドではビダルやアルバ、グリーズマンが組み立てに参加するので定期的にチャンスを作れるようになります。また、ボールを持っている側のCBも高めの位置を取り組み立てに参加していたので距離感も改善することができていました。ただ、右サイドではフレンキーとファティしかいないので相変わらずボールを前進させることができませんでした。あと、試合を通してWBのラインブレイクして行く意志があまり見られませんでしたね。アルバが裏に抜けれた時とかはほぼ毎回チャンスになっていたのでもう少し積極的に出て行って欲しかったです。
流れをよくしたビダル
そして修正の決め手となったのはビダル!彼は、ポストプレーや相手を引きつける役割をになっていたスアレスの代役を柔軟にこなしていました。
そして、ポストプレーをしてくれるビダルが入ったことにより、上の図のようにライン間で前を向くことができるようになりました。そして下の写真もご覧ください。
少し見にくいですが中央にいるビダルが前に走って行くことにより、アルバからメッシへのパスコースができています。このよにビダルが試合に入っていたことで味方(メッシ)にスペースを提供されるようになり円滑に攻撃できるようになりました。
最近僕の記事でスアレスの良さ、スアレスの動きと似たことをしてくれるビダルの良さばかり書いていますが、ある意味バルサはスアレスやビダルに依存していることを痛感させられています笑 実はメッシ依存と同じくらい深刻な問題かもしれませんね。
・再び露呈したセットプレーの弱さ
後半は前半と比べればとても良くなりました。しかしやはり現実は厳しい… あれだけ前半にシュート打たれて無失点だったツケが回ってきたのでしょうか。個人的には1点目の失点はしょうがないと思うのですが、2点目の失点は未然に防ぐことができたと思うのです。
2失点目はスロインが起点となりシュートを打たれてしまいました。上の画像を見ていただければわかると思いますが、自陣に戻ってきている選手はほぼいません。周りの選手がもう少し早く自陣に戻れて入ればと思うと…
後半は善戦するも結局点を奪うことなく試合は0-2で終わります。
■雑感
見ていた時は敗戦したことやアウェーで負けたことが先行してしまいあんまりゲーム内容が入ってなかったのですが、改めて見返すと全然勝てた試合だなと思いました。CLとかになるとやっぱり運の要素も大きくなってくるので勝って欲しかった… ですが、3rdユニを満喫できたので僕は満足でした笑
最後までお読みいただきありがとうございました!
ペレス放出の理由からセティエンのサッカー観を読み解く
どうも!名もなきクレです!
この前、イビサ戦のマッチレビューを書いた時に、ふとペレス放出の納得いく理由を閃きました。なので今回はそのペレス放出の理由とともに、そこからさらに話を掘り下げてセティエンの人格やサッカー観についても書かせていただきたいと思います!
実はグラナダ戦とイビサ戦のマッチレビューで結構今回のテーマについて触れています。なので割と今までの記事の内容と被るところもありますがそこはご了承ください笑
■カルロス・ペレスのプロフィール
1998年2月16日/スペイン/175cm/75kg/左利き
ペレスの主戦場は右WG。オフザボールに優れた選手で、カットインの動きを惜しみなく繰り返してくれます。本職ではない左WGでも自慢のオフザボールは健在。左足からの強烈なシュートが特徴的で巷ではバルサのロッベンと言われていたそうです笑 ペドロの後継者的な感じでペレスに対して期待していたクレは結構多いのではないでしょうか?
海外のロマニスタの方が作った動画ですが、1番見やすかった動画なのでおすすめです。
Carles Pérez • Welcome To AS Roma - 2020 • Best Goals & Skills - Barcelona Highlights / 2019/20 •
・略歴
今までのペレスの活躍を軽く振り返っていきますが、本当にちょっとしか経歴に触れられてないのはお許しください笑
バルサBの主力として活躍してたペレスは遂に18-19シーズンのリーガ最終節、エイバル戦でトップチームデビューを果たします。そしてプレシーズンの時に行った日本ツアーにも帯同します。背番号7番を背負ったペレスは神戸戦で2得点を決めて大活躍!バルベルデの信頼を得た状態で19-20シーズンのスタートを切りました。
さらに、シーズン開幕時にはスアレスとメッシが負傷していましたのでペレスは多くの試合に出場することができました。そして、9月下旬には2年の契約延長を果たします。
プレーシーズンで信頼を勝ち取ってから徐々に出場機会を得て活躍していくという、カンテラーノの模範的なステップアップの仕方をペレスは体現しているなと勝手に思っていました笑 そんなペレスが放出されてしまうというのは、トップチームでの活躍を切望している下のカテゴリーの選手にとってネガティブで、カンテラーノの流出をさらに引き起こしかねない出来事だったでしょう。クラブ側は買い戻しオプションをつけようとしたそうですが、ペレスが断ったという報道もあるそうで…
これは実質的な完全移籍。バルセロナがシーズン後に買い戻し権を持てる条件も提案されましたが、バルセロナからシーズン中に戦力外通告を受けたペレスがこの案を拒否したと報じられています。
— botiga BCN⚽️バルセロナ🇪🇸 (@botiga_BCN) 2020年4月16日
しかし、なぜセティエンは結果を残しつつあったペレスを戦力外としたのでしょうか?
■なぜペレスを必要としなかったのか
ペレスがセティエンになってから出場した試合はグラナダ戦とイビサ戦の2試合のみ。イビサ戦から数日後にセティエンから戦力外と言い渡されています。この2試合では3-1-4-2を用いており、セティエンは3-1-4-2でしばらく指揮しようと考えていたでしょう。なので、ペレスがプレーした3-1-4-2のCFとWBに求められるタスクをもとに、考えていきます。
・CFにおけるペレス
イビサ戦では左のCFとして先発入りしたペレス。この試合では59分にアルバと交代し、ペレスがプレーしていたポジションにファティが入りました。
2トップを組む場合、お互いの欠点を消せ、かつ長所を活かし合うことができる組み合わせが望ましいとされています。この試合でのバルサの2トップはグリーズマンとペレスです。グリーズマンもペレスも2人ともオフザボールに優れた選手、そう、出来ることが比較的似ているタイプの選手なのです。2人とも周りを際立てようとするも活かされる選手がそもそもいない、なんて局面も何度か… そこで2人のFWに違いを出すためにファティを前線に入れることを決意したわけですが、ペレスとグリーズマンだったらもちろん信用できるのはグリーズマン。そういう理由でペレスは交代されたのでしょう。
更新しました!
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月14日
ペレスやリキについて軽く考察しているところもあるのでぜひ笑 https://t.co/20FSyZWWEJ
このようにCFではグリーズマンと役割が被っていました。残念ながら、CFのポジションでペレスがグリーズマンと争うのは現実的に無理がありました。そして実際にイビサ戦ではグリーズマンの2得点により勝利しています…
こうしてCFとしての活路は絶たれたペレスですが、WBではどのように評価されたのでしょうか?
・WBにおけるペレス
奥行きを作る重要性
突然ですが、サイドでプレーする選手で最も重要な役割はなんだと思いますか?個人技でのカットイン、中央に入って組み立てに参加する… もちろんチームによって多少は異なりますが、僕は間違いなく幅を取り奥行きを作る役割が最も重要だと思っています。
下の図はピケがアルバに対してロングボールを蹴るシーンです。この時敵選手の目線はピケに向いています。また、相手CBはメッシを厳しくマークしておりメッシがボールを受ける余裕はありせん。
では、アルバにボールが入ったときにどうなるか考えてみましょう。下の図のようにピケを見ていた相手選手は急いでアルバに視線を移さなければなりません。
このように相手の目線が急激に変化することにより恩恵を受ける選手がいます。そう、それはメッシです。メッシをマークしていたCBはアルバに目線を移さなければなりませんから一時的にですが、メッシから目を離さなければなりません。こうしてメッシは相手のマークから外れることができるのです。
この例は少し極端過ぎますが、サイドから裏へ突破するときには同じような現象が起きます。例えば、メッシとアルバのホットラインはまさに急激な目線のズレを活かした攻撃ですし、シティのチャンネルランもこの原理を使っています。ただ、メッシとアルバのホットラインに関してはスアレスのような9番タイプの選手がいることによりメッシがフリーになれるので、やはりスアレスは必要になります。ここ最近アルバのパフォーマンスが以前ほど尖っていないのはスアレス不在が関係あるのかなと個人的に思いました。
少し話がそれてしまいましたが、このような奥行きを作る動きは相手の守備ブロックを崩す上で重要になります。なのでチームには誰かしら幅を取り奥行きを作る存在が必要となるのです。
バルサのWBに求められていたタスク
下の図は3-1-4-2のバルサが4-4-2のチームに対して押し込んだ攻撃を行なっているシーンを表したものです。図を見ていただければわかりやすいと思いますが、WBはチームの中で唯一幅をとるタスクが与えられたポジションになっています。そのため奥行きを作る動きを求められるわけですが、そのタスクをペレスはこなすことができていたでしょうか?
右WBとして途中交代したグラナダ戦ではいつも通りサイドから中に入っていく動きを繰り返してくれていましたが、この動きでは奥行きを作ることはできませんでした。たとえ良い動きだとしても監督に任された動きをこなせなければ高く評価されることはありません。
そして、当時はデンベレの復帰が間近でした。その影響もあり、ペレスはWBにおいても戦力外扱いとされてしまいます。
セティエンのサッカー観を読み解く
ペレスを放出した直後にバルサはバレンシアに完敗し、それ以来3-1-4-2のフォーメーションを用いていません。バレンシア戦後は4-3-3をメインに用いていますが、4-3-3のWGならSBがいるため常に奥行きを取るタスクを行う必要がありません。そのため、「ペレスを放出する必要はなかったんじゃないのか」と思う方は結構いるのではないでしょうか?僕も4-3-3なら活躍することはできたのではないかなと思っていますし、デンベレの存在があったとはいえ決断が早すぎます。できることならバルサに残って欲しかった…
では、改めてなぜセティエンはペレスを放出しようとしたのか。この問いは、緊急補強で獲得したブライスワイトの特徴を考えることで解き明かすことができます。
デンベレの長期離脱に伴って許可された緊急補強で獲得されたブライスワイト。昨年のボアテングのようになってしまうことを一時期危惧する声もありましたが、彼は初速の速さを活かした縦突破をカンプ・ノウで披露することによって実力を証明しました。セティエンはブライスワイトの縦への突破力を評価して獲得したのでしょうが、この事実からセティエンのサッカー観が読み取れます。それは彼が「奥行きを作る動きを重要視している」という確固たる価値観を持っているということです。実際、4-3-3のWGは裏を狙えるときには裏へ走る動きをしており、ブライスワイトのスピードは相手チームに脅威を与えていまいした。この裏へのアプローチはバルベルデ時代にはあまり見られなかったのでセティエンの色が出た采配と言えるのではないでしょうか。
では、改めてペレスがWBとして評価されなかった理由を思い出してみてください。セティエンのサッカー観を考えれば、なぜペレス放出をあそこまで早く決断したのかご理解いただけるでしょう。もしかしたら就任が決まった時点でペレスの放出は決めていたのかもしれません。
余談ですが、彼のサッカー観を元に考えるとなぜファティを右WBで起用したのかも見えてきます。 右サイドで起用されたファティは持ち味のカットインの動きが出せず縦突破一辺倒になっていましたが、彼のサッカー観を考えるとそこまで悪いプレーではなかったのかもしれませんね。
■優しすぎるセティエン
このように、セティエンは奥行きを作る動きを重要視しているわけですが、1つ疑問に思うことがあります。それはセティエンがグリーズマンをどう思っているのかということです。
グリーズマンはどこのポジションでも上手にプレーしてくれますが、今のバルサでグリーズマンの本来持つクオリティを完全に発揮出来ているとはいえません。グリーズマンのクオリティを発揮しきれないポジション(WGなど)でセティエンが起用していることを考えると、実はセティエンがグリーズマンをあまり必要としていないのではないかというふうに感じてしまいます。というか実際、そうなのだと思います、残念ながら…
セティエン🇪🇸🗣
— ⚽️🇪🇸決めろジャパン🇯🇵⚽️ (@kimeroJPN) 2020年4月17日
「シャビがいつかバルセロナに戻ってきてくれることを僕は願っている。それが彼の運命なんだ。クラブのことを誰よりも彼が知っているし、理解している。彼に場所を空けるために僕が去らないといけなくても、僕は構わない」 pic.twitter.com/SkO9LuuBUR
このようなセティエンの謙虚さに溢れた発言が度々報道されますが、彼は良くも悪くも優しすぎるのかもしれません。前任のバルベルデもまさにそうでした。そしてクライフのような理想が高くてフロントと揉めちゃうような人物がバルサには必要なのかもしれませんね。
■まとめ
どうだったでしょうか?自分の中では以前よりもセティエンの理解が深まったと思っていますが、セティエンは謎が多い人物のままです。例えば、コウチーニョを来季の構想に含めているところとか。心からコウチーニョを起用したがっているのならば良いのですが、金銭面での配慮とかからの発言ならちょっと不安になります。まあセティエンはもうちょっと荒っぽくて自分勝手な采配をしても良いのかなとは思います笑 彼自身はクライフ信者ですからバルサにとって決して悪いことではないと思いますからね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
〜なぜバルサは苦戦したのか〜 国王杯 3回戦 イビサ対バルセロナ
どうも!名もなきクレです!
ひょんなことからグラナダ戦からビルバオ戦までのマッチレビューを書くことを決めましたが、今回はイビサ戦を書いていきたいと思います笑 前回のグラナダ戦のマッチレビュー読んでない!って方いらっしゃったらぜひ笑
更新しました!パス本数1000本を記録したセティエンバルサ初陣の試合 改めて見返してみてはいかがでしょうか? https://t.co/kdmVdg9C1r
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月10日
今回はバルサが苦戦を強いられたイビサ戦。負けるかもと不安だった試合ですが、イビサのバルサを封じ込めようとする意図が垣間見れた試合でもあったので個人的には面白かった試合の印象があります。あと解説?の方が人工芝のことについて触れてる頻度が多かった覚えもあります笑
■スターティングメンバー
バルサはグラナダ戦と同じく3-1-4-2。3バックなのに本職CBがラングレだけという… ターンオーバーとはいえ少し攻撃的な気がしますがね。そして2トップはペレスとグリーズマン。この試合の数日後にセティエンから戦力外とされてしまい彼はローマに移籍するわけですがなぜペレスを戦力外にしたのかということも視野に入れながら観ていきましょう。
一方のイビサは定番の4-3-3。イビサで昔から知ってる選手はいませんが、前からのプレスなどでバルサをビルドアップでサイドに追い込んだりするなど戦術的な練度は高いチームなので各選手のタスクを意識したりして観たいと思います。
■前半
・バルサのボール保持時
ビルドアップ
バルサは前回と同じく3-1-4-2でビルドアップをしようとしますが、それに対してイビサは4-4-1-1の陣形で積極的に前からプレスを仕掛けました。基本的にはイビサの中盤を務めているヌネスとペレスがインテリオールを厳しくマークし、同時にイビサのWG(ライーとカバージェ)がインテリオールへのパスコースをカットしてバルサのインテリオールを完全に封じ込めようとしていました。また、ボールホルダーに対してはララがフレンキー、ロナウドが隣にいるCBのパスコースをカットしながらプレスをかけてきました。
このように、イビサはボールが中央に入れさせないように細心の注意を払っていました。突然ですが、みなさんがもしCBとしてボールを持っていたらどこにボールを出しますか?多分WBにパスをする方が多いと思います。では、実際にWBにボールを渡すとどうなるのか?下の図をご覧ください。
イビサの選手はバルサの中盤などのパスコースをカットしているので、バルサのWBは袋の中のねずみ。バルサが失点するまではイビサのSBがWBにプレスをかけにいくわけではなく後ろのスペースをケアする形になっていたので、ファティが上手にカットインするなんてシーンもありましたが、イビサに対してやはり決定的な打撃は与えることはできませんでした。
イビサが前半8分に先制した後は、イビサのSBがバルサのWBにプレスをかけにいくようになり、状況はさらに難しくなっていきます。前半の35分付近ではイビサの前からのプレスに引っかかってしまい危うく失点しそうになってしまうシーンがありました。
押し込んだ時の攻撃
前からのプレスで苦しめられたバルサはブロック守備の時にも苦しめられます。
イビサのFWがハーフウェイライン付近まで下がると4-4-1-1から4-5-1へと変化しました。4-5-1のブロックといえばまず最初にナポリ戦が思い浮かぶ方は結構多いのではないでしょうか?あの試合でも4-5-1のブロックに苦戦を強いられましたね。
更新しました!
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年2月29日
〜ナポリ戦から見えてきたバルサの課題と解決方法〜 【マッチレビュー】 CLラウンド16 1stレグ ナポリ対バルセロナ - 名もなきクレのブログ https://t.co/nrZzkHGTO2
ナポリが用いた守備ブロックは4-5-1、無敗優勝も夢じゃなかったリヴァプールを3-0で打ち砕いたワトフォードが用いたのも4-5-1、FA杯でリヴァプールに勝ったチェルシーが用いたのも4-5-1… ちょうど同時期にこのような試合があったので「4-5-1ブロックが最も守備が固い!」と盲信していました笑 今は「どんなブロックにもメリットデメリットはある」っていう考えに戻ってますが、それでもやはり4-5-1の守備が固いなと思っています。
ここで一度4-5-1のブロックのメリット、デメリットを軽く整理してみたいと思います。
- 4-5-1のメリット
①2列目に5人いるので横へのスライドが早い
②4-1-4-1などで生じる「アンカー脇」のスペースは存在しない
③ライン間に入られても周りで囲むことが容易
- 4-5-1のデメリット
①ブロックの前方に広大なスペースを与えてしまう
②FWが1人しかいないのでカウンターが弱い
③前方にいる相手に対して圧力をかけにくい
このように4-5-1のブロックは、ブロックの後ろを固めた代わりにブロックの前で比較的余裕を持てるようになっています。なので最終ラインからライン間へパスを通して展開をつくるのが無難ですが、果たしてバルサは出来ていたでしょうか?
単刀直入に言うと出来ていませんでした。
上の図は前半15分のシーンです。フィルポがチャンネルランをして8番を引き付けます。しかし、そのときに空いたスペースを素早く使うことができていませんでした。この場合だとリキが瞬時に受ける判断をすべきだったのかなと思っています。このように、どこにスペースが出来るかを選手間で把握してボールホルダー、ボールを受ける人、第三の選手(フィルポのような動きをする選手)が連動できなきゃチャンスに繋げることは難しいのかなと思いました。
正直就任直後、かつターンオーバーをしていたこの試合で、上に書いたようなタスクを完璧に求めるのは流石に酷ですが将来的にはできなくちゃいけないことになってきます。
イビサのインテンシティが高め、守備ブロックが4-5-1とはいえ、上の写真を見ればわかるように意外とスペースは存在してます。ですから、やっぱり崩して欲しかったというのが本音ですが… あと、フィルポの動き自体は良いですが、CBの一角が結構な頻度であの動きをするのはちょっとうーんって感じですね笑
・イビサのボール保持時
イビサは、基本的に裏へのロングボールをサイドに蹴っていました。なのでバルサからボールを奪ったらサイドに流れた9番のロナウドやWGにロングボールを蹴ることが多かったです。また、フィルポがオーバーラップすることが多かったのもありフィルポがいる左サイドが狙われることが多かったです。左サイドを狙われた局面の代表格としてあげられるのが16分40秒のシーン。結局ファールになって得点は無効になりましたが、すごくヒヤヒヤしたのを覚えています。
1回だけでは単調になるロングボール攻撃を何回もやることでバルサのミスを誘発させようとしていました。イビサの攻撃の戦術は驚くくらいシンプルですがこの戦い方にバルサは苦戦を強いられます。
このように苦戦したバルサはスタッツでも完全に負けていました。幸いだったことは運良く1失点に抑えられたことくらいでしょうか。後半、セティエンがどう対応してくるかが見どころです。
■後半
・バルサの修正
イビサは前半と全く同じ戦術を使い通しました。それに対してバルサはどのような修正をしたのか見ていきましょう。
①ライン間を使う意識の共有
②WBでボールを持ちすぎなくする
先程、第三の選手の動きがないというふうに書かせていただきましたが、その動きをしてもらうようセティエンは話をしたと思います。また、同時にWBでボールを持ちすぎないようにすることも話したでしょう。そのため、WB(特にファティ)が無理にドリブルを仕掛けてボールを失うシーンが減り、シュートまでは持ち込めなくてもボールを中央に侵入させることができるようになりました。ただ、68分頃までシュート0でしたからもう少しなにか変化を加えてもよかったのではないかなと思いますが…
・交代の意図を読み解く
59分 ペレスout アルバin
ペレスとアルバが交代しましたが、実際にアルバが入ったポジションはWB、ファティは左のCFに入ります。言うまでもなく、WBはイビサのブロックの構造上、罠となっていました。なので強引に突破しようとするのは困難です。そこでWGタイプのファティではなく周りとの連携で縦に抜けることが得意なアルバをWBに置き、4-5-1ブロックを崩そうとしました。余談ですが、今日のセメドは、先程述べたようなタスクをうまくこなせていました。改めて見返すとセメドが覚醒しはじめたのはこの頃なんだなと思いました笑
ところで、なぜファティは残されてペレスが交代されることになったのか?それを考えてみたいと思います。
- なぜファティではなくペレスが交代?
①決定機を作ることが出来なかったから
②グリーズマンと役割が被っているから
③2トップに個の能力がある選手を置きたかったから
2トップを組む場合、お互いの欠点を消せ、かつ長所を活かし合うことができる組み合わせが望ましいとされています。この試合でのバルサの2トップはグリーズマンとペレスです。グリーズマンもペレスも2人ともオフザボールに優れた選手、そう、出来ることが比較的似ているタイプの選手なのです。2人とも周りを際立てようとするも活かされる選手がそもそもいないなんて局面も何度か… そこで2人のFWに違いを出すためにファティを前線に入れることを決意したわけですが、ペレスとグリーズマンだったらもちろん信用できるのはグリーズマン。そういう理由でペレスは交代されたのでしょう。
このようにペレスがバルサの中で周りとの違いを出しきれなかったことが移籍させられたことの大きな要因なのかなと感じさせられました。
71分 リキ out アルトゥールin
前回の試合のグラナダ戦よりはしっかりとボールを持ていた印象のあるリキ。ただ、安全志向なところはそこまで変化がなくリキ自身でボールを持てているシーンは多くはありませんでした。この試合でのリキは失点シーンに絡んでしまいましたしね… そこでボールを持てるタイプのアルトゥールを入れることでフレンキーなどな余裕を持ってボールを持てるようにします。その影響からなのかアルトゥール投入直後にフレンキーがグリーズマンに対してアシスト。この交代は一定の効果があったといえるのではないでしょうか。
この試合では良いとは言い切れないパフォーマンスでしたが、間違いなくリキにポテンシャルはあるのである程度の出場機会を与えてほしいです。試合慣れってやっぱ大切ですからね。最近の試合であんまり出れてないのが少し不安…
81分 ラキティッチout ビダルin
この日のラキティッチはイビサのインテンシティが高いのもあり、たまにラキティッチのプレス耐性のなさが露呈してしまうこともありましたがそこまで悪いパフォーマンスではなかったと思います。なので単純に、ビダルの得点力や精神力に期待しての交代だったのかなと思いました。この時間帯はまだ1-1でしたしね。
このような感じでバルサは試合の流れを変えていこうとしました。結果的に見れば成功なのかもしれませんが内容にはやはり疑問符が残る試合になりました。
■雑感
イビサの守備ブロック結構硬い印象あったんですが今見返してみると意外と隙があるなというふうに思いました。
そして、この試合の数日後にセティエンがペレスを戦力外にしたと考えると決断が早い… 頭が固いクライフ信者かと思えば意外と現実主義者で、そしてそのすぐあとにペレスを放出。助監督のサラビアに強く言われたのかもしれませんがセティエンの頭の中が全く読めません。
また、イビサのような戦術的に仕込まれててインテンシティが高いチームは観てて面白いなと改めて感じさせられましたね。早くこの騒動が終わってフットボールを観れる日常に戻ることを願うばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
〜セティエンバルサ初陣を振り返る〜 La Liga 第20節 バルセロナ対グラナダ
どうも!名もなきクレです!
みなさんお家でどのように過ごしていらっしゃるでしょうか?僕は毎日、試合を観て、ゲームして、勉強して…みたいな堕落した生活を送っております笑
なので今までの試合のマッチレビューを書いていきたいなと思いました。実は僕、他の方と比べてマッチレビューを書くのが遅いです泣 リーグ戦が再開したら過密日程になっていくなかでマッチレビューを書くのが遅いのは致命傷なので書く練習も兼ねてこのマッチレビューを書きたいと思います笑
暇なのでセティエン就任からビルバオ戦までのマッチレビュー書きたいと思います どっかで力尽き果てるかもしれませんが笑
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月9日
ご存知の方が多いとは思いますがバルサ公式サイトから試合が観れるのでもう一回観てみると面白いかもしれません。
https://www.fcbarcelona.jp/ja/videos/1579859/fc-1-0-
■スターティングメンバー
試合前のスターティングメンバーを見たときは「4-3-3で行くのかな?」と思ってましたが蓋を開けてみると布陣は3バック。そして、まさかのロベルトCB起用に驚いた方も多いのではないでしょうか? また、中盤がラキティッチ、ビダルとゴリゴリなのも驚きでした笑 ただ、カンプノウとはいえ前回対戦でグラナダに完敗してましたし、就任から1週間しか経っていなかったので正直少し不安でした。
■前半
・バルサボールのボール保持時
ビルドアップ
バルサが3バックで挑んだことに1番驚いたのは僕たちではなくグラナダでした。下の図のように、4-2-3-1で4-3-3のバルサをはめ込もうとしてたのですからね。
しかし実際の布陣は3-1-4-2。グラナダのSH(バディージョとマチス)はSBをマークするように監督から言われてたでしょうが、SBがいませんでした。そして気付けば、自分の近くにバルサのWBとインテリオール、CBが!グラナダのSHは、誰を見ればよいのか迷ったでしょう。また、SBも同様にマークするはずのWGがおらず困惑していました。
このようにグラナダは守備の基準点を奪われ、バルサのWBをフリーにしてしまいます。なので、バルサはWBを経由して比較的楽に前進することができました。
また、後方に3CBとブスケツがいたためテアがビルドアップに絡む機会はあまりありませんでした。
グラナダの修正
先程述べたように、WBをフリーにしてしまっていたグラナダは軽く修正を施しました。SHはバルサのインテリオールのパスコースをカットし、SBはWBにボールが入ったらプレスに行くようになります。しかし、実際はそこまで機能していたとはいえませんでした。
後方のスペースやメッシらのことを気にしているせいかグラナダのボランチは、バルサのインテリオールに対してそこまでついていくことができません。なのでマークを外れようと降りてきたインテリオールはフリーになります。そのインテリオールに、上の図のような経路でボールが入ってグラナダは前進されてしまいました。
個人的に、グラナダのSBがバルサのSBにプレスをかけにいくところを見計らってグリーズマンとかが裏へ抜け出していったりしたら面白いなと思いました。
押し込んだ時の攻撃
グラナダは押し込まれた時も4-2-3-1の布陣のまま守備をします。そのため、ボランチの横のスペースが空いてしまっていまい、このスペースをバルサに使われてしまいました。基本的にはインテリオールがこのスペースを使っていたしたが、メッシがこのスペースに降りてきてゲームメイクすることも。
また、CBからグリーズマンやメッシに楔が入った時にパス回しのテンポが上がり、そしてキレキレのメッシ。最近のメッシと比較すると間違いなくこの試合の時の方が調子は良かったと思うのですがみなさんはどう思いますか?改めて攻撃面で彼に依存しているなと痛感させられました。
グラナダの守備
改めて、グラナダの守備を振り返ってみましょう。グラナダは、SHが降りてきて4-4-1-1になることもありましたが、CBがボールを持っている時はトップ下と同じような高さでポジショニングして前からのプレスに参加していました。しかし、バルサのCBが3人いたこともありプレスはあまり機能しません。なのでSHはプレスを特にかけずにいましたが、ボランチのスペースは空いてしまっていました。このようにグラナダのSHは少し中途半端な感じになっていたと思うので「プレスに行くなら行く、プレスしないなら引く」の意識が必要だったのかなと思います。
少しネガティブな話をしましたが、もちろんグラナダ側にも個人的に印象に残っている選手はいます。それはアゼーズです。彼は地味ながらもずっとブスケツをマークし、ブスケツをマークしながらプレスにかけに行ったりしていました。もちろん全くブスケツにボールが入れさせなかったというわけではありませんが、ブスケツをやりにくくさせていたのは間違いないでしょう。
・グラナダのボール保持時
基本的には2CBとゴナロンと両SBがビルドアップに参加していました。そして、エテキを除く他の選手は裏を狙い、エテキは最終ラインの人数が足りない時に降りてきます。また、ビルドアップが詰まった時には裏へのロングボールを蹴ります。あくまで、最終ラインへボールを蹴るための準備としてビルドアップは位置付けられていました。
一方、バルサは4-1-4-1のブロックで守備をしていましたが、すごく前がかりになっていました。上の写真はグラナダがビルドアップをしている場面ですが、バルサの選手は6人、グラナダの選手はGK含めて7人(写真の左端にいるディアスもカウントしました)になっています。この状況が結構危ないというのは言うまでもありません。前からのプレスやネガティブトランジション時の問題はまだ解決できていないので結構心配です。
このようにチーム全体が間延びしていたわけですが、ハイプレスのせいか幸いにも裏を狙う良いボールが飛んできませんでしたのでチャンスを作られることはありませんでした。
最終ラインの手前でボールを受けようというアプローチもしたグラナダですが、それも上手くはいきません。ロングボールからの裏への抜け出し、ショートカウンターを主軸として攻撃を組み立てているチームなので、守備が機能しなかったのは相当な痛手でしたでしょう。結局、グラナダはシュート1本しか打ててないですからね。
■後半
・守備のシステム変更
守備に少し難ありだったグラナダは後半58分頃に4-2-3-1から4-1-4-1に変更してきました。ちょうどリキとペレスが準備し始めてるシーンが映った直後のシステム変更だったのでなぜか印象に残っています笑 ここで4-2-3-1と4-1-4-1の時に起こったことを整理してみましょう。
- 4-2-3-1の時に起きていたこと
①SHの守備意識が足りていないためボランチ脇が空いてしまっていた
②上の図のように経由すれば容易にボランチ脇て前を向いてボールを受けることができた
③ボランチ脇にボールが入った時ボランチが寄せにいくことが多かったのでグラナダの陣形がカオスになった
- 4-1-4-1の時に起きていたこと
①ライン間(アンカー脇)が弱点だが、3列目の選手がパスコースをカットしている
②パスが通ったとしてもCBやアンカーがプレスをかけてくるのでパスを戻さざるを得ない
③選手同士の接触が増加
④グラナダがボールを奪える回数が増えたのでチャンスシーンも増加
③で触れたように選手同士の接触が増えたため結果的には2枚目のイエローカードを貰ってしまいました。正直運が悪かったとしか言えませんが… グラナダの人数が1人減ってしまった後は「4-1-4-1でボールを奪ってカウンターしよう!」という方針から「5-3-1で守り切ろう!」という方針に変更し、5-3-1にしました。
・決定打に欠けたバルサ
ただ、人数が減った後もバルサはやや苦戦します。しかし76分にビダルのポストプレーからメッシに流し右足でシュート。グラナダのGKは動けませんでした。
グリーズマンの素早いパスによりボールを受けたビダルは周りの敵を引きつけ、メッシをフリーにしました。ポストプレーができ自分でシュートを打つことも出来るスアレスはやはり偉大だということを痛感させられたシーンでもありましたね。もちろん彼にはもう少し守備をして欲しいですが…
・リキ、ファティ、ペレスの評価を考える
リキ
この試合をリアタイしてて、リキが交代で試合に入ったとき興奮しましたか?僕はめちゃくちゃ興奮しました笑 なので、その時は「リキ悪くないんじゃない?」って思ってましたが、今見返してみると無難にプレーをしようとしてか前を向いてプレー出来てないように感じました。いつもならサイドチェンジのボールを蹴るようなフォームでも蹴らないみたいなシーンが結構あった気がします。彼のポテンシャルは間違いないものだと信じているのでやはり試合慣れしていくことが必要だなと思いました。
ファティ
この試合では3-1-4-2の右WBとして入ったファティ。前に見た時には「ファティ右サイドで孤立してるなあ」って印象がありました。しかし、今回改めて試合を見返してみるとそこまで悪いようには感じませんでした。あんま良くなかったということを知った上で見てるからなのでしょうかね?ここで1つ自分が印象に残っているシーンを紹介します。
上の図は39分にファティが裏に抜け出してチャンスメイクをしたシーンです。今のバルサでこういうふうにサイドから裏に走っていく動きはあまり見られないなと思っているのでとてもポジティブに感じました。
pic.twitter.com/qK1IWaa8jK
— 名もなきクレ (@namonakicule) 2020年4月8日
こういう完全に押し込む前にWGが裏に抜けてチャンスを作るっていうのあんまりないよね グリーズマンとかも裏抜けしてくれるけどWGっていうより2トップとしての動きになってるというか
ペレス
ペレスは80分にファティと交代して右WBに入ります。彼は常にサイドから斜めのランニングをしてくれていました。ただ、グラナダが中央を固めていたというのもあり、良いボールが入ってこないまま試合終了を迎えます。
彼は確かイビサ戦?の後くらいにローマに旅立ってしまいました… デンベレ復帰を見込んでの放出だと思うのですがあまりにも決断が早過ぎます。ではなぜペレスは放出されてしまったのでしょうか?それは、セティエンがサイドのポジションの選手には縦への突破力を重視していて、ペレスのようなタイプのWGを好まないからだと思います。緊急補強したブライスワイトも突破力があるタイプですよね。ただ、それでも残って欲しかったなというのが僕の本音ですが…
こうしてバルサはなんとかセティエン初陣の試合を勝利することが出来ました。
■雑感
最初に試合を見た時の感想と改めて見返した時の感想が結構異なっていて自分でも驚いています笑 例えば、パスを1000本越えという事実に対しては「就任直後にこんなにポゼッション出来るのすごい!」と思ってましたが、「パス1000本ってことはロングボールとかを全然使ってないってことなんじゃない?」みたいな感じに変化しました。ポゼッションすることが試合に勝つための手段としてではなく、ポゼッションすることが試合の目的になってはいけませんからね。ただ、クレの心を掴むという意味では良かったのではないかなというふうに感じています。みなさんもどういうふうに感じられたかぜひ教えてほしいです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
なぜカンテラーノは使われないのか
どうも!名もなきクレです!
今回は「なぜカンテラーノは使われないのか」について。ピッチ内外に分けてカンテラーノが使われない理由を考察してみたいと思います。
■ピッチ内での変化
・「MF主役」から「FW主役」へ
「ティキタカ」で世界中に旋風を巻き起こしたペップバルサ。「哲学」が世界に通用することを証明してくれました。もちろんメッシやビジャも素晴らしい活躍をしていましたが、この時期は間違いなくシャビやイニエスタなどのMFの選手が主役でした。
そしてペップは11-12で退任し、その後しばらくCLタイトルからは遠くなります。そんな中、圧倒的な個と破壊力がある「MSN」でCLタイトルを取ったエンリケバルサ。この時期はMSNの構成メンバーであるメッシ、スアレス、ネイマールが主役となっていました。
・中盤に求められるタスクの変化
このようにMSNの台頭によりチームの主役はMFからFWへと変化しました。そして、FWを最大限にいかすために、カウンター攻撃が増加します。また、攻撃で使うスタミナを残すためにメッシやスアレスは守備を免除されました。そのため、チームのために走ることが出来るラキティッチが重宝されました。
カンテラ出身の中盤の選手は、パスやポジショニングは上手いけど長距離をスプリントする能力はないという選手が多いのでラキティッチのような選手はカンテラにはいません。なのでカンテラーノが起用されることが少なくなりました。
・クラブ以上の存在
MSN解散後もFWが主役という構図に変化はなく、むしろメッシの権力が強くなりました。メッシが攻撃を組み立てて、メッシがドリブルして、メッシがアシストして、メッシが点を決めるetc… そのため、メッシとの相性が良い選手が重宝されます。
バルサBから上がってきたばかりのカンテラーノたちとラキティッチやスアレス、アルバならどちらがメッシとの相性が良いでしょうか?無論、ラキティッチたちです。
これも少なからずカンテラーノたちに影響を与えているでしょう。
・強みを失ったカンテラーノ
カンテラーノは幼少期から、トップチームと同じ4-3-3、同じ哲学の元プレーしています。そのためトップチームで活躍しやすい環境にありました。
4-3-3での住処がない選手がビッグクラブに移籍すると、高確率で失敗する印象がある。
— クレナイダー@Choupo2999 (@lockon_cc07) 2020年3月20日
2センター向きのMF(アンカーだと配球力に欠けて、インサイドハーフでは運動量が足りない)は特に多いけど…
3バックの一角、ウイングバック、トップ下、3-4-2-1や4-3-2-1の2シャドー、2トップで名を挙げたタイプも。
この方がおっしゃる通り4-3-3に自分の居場所があるというのもカンテラーノの強みの1つでしょう。フィルポのフィットがあまり上手くいかないのも、もしかしたらこの話が関係してるのかもしれませんね。
しかし、先程述べたような経緯により各々の選手に求められるタスクは変化し、カンテラーノの優位性は薄れてしまいました。そのため、カンテラーノがトップチームに定着するということが減ってしまいました。
■ピッチ外での変化
・カンテラーノを軽視するフロント
現会長バルトメウのもとではカンテラーノを軽視した補強が目立ちます。例えば、ローマへ移籍したペレスやヘタフェへ移籍したククレジャなどの扱い。彼らに関しては戦力としてすることが出来たのにも関わらず放出されました。
「絶対にカンテラーノ使え!」とは言いませんが同じ実力の選手を外から取るくらいならカンテラーノ使って欲しいです。
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前任のバルベルデはメッシを最大限に活かすためのチームを作っていたため、カンテラーノが使われる機会が少なかったですが、今はクライフ信者のセティエンが監督を務めています。セティエンのもと、ピッチ内では原点回帰を目指しているので来シーズン以降はカンテラーノの起用が増えていくでしょう。
なのでこれからのセティエンの采配やリキ、アレニャなどのカンテラーノの動向に注目していきたいところです。
最後までお読みいただきありがとうございました!